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生き方

定年後の働き方を間違えて、年金額がガクッと減る人

荻原博子(経済ジャーナリスト)

2019年01月17日 公開 2023年01月05日 更新

給料と年金でかなり世帯収入が増えることも

ちなみに、公務員が定年退職後に働いた場合も、会社員と同様に、給料が一定額を超えると年金がカットされます。

「70歳になるまでは働くぞ!」という方には、老齢厚生年金の部分は、それほど働き方を気にする必要がないでしょう。

なぜなら、年金と給料(総報酬月額相当額=月給+ボーナスの合計額の12 分の1)が46万円以下なら、年金はカットされないからです。また、老齢基礎年金は全額支給されます。

65歳以降も働くという方でこれまで加給年金を加算されていた場合は、妻が65歳になると加給年金はなくなりますが、そのかわり妻の年金に「振替加算」がつくので、給料に加え、それぞれが年金をフルにもらって、振替加算ももらい、かなり収入が多くなります。

【加給年金と振替加算のイメージ】
加給年金と振替加算のイメージ

 

64歳11ヶ月で辞めるとトクをする理由

また、70歳以降の年金を多くしたいなら、老齢基礎年金だけを70歳から支給してもらう方法もあります。

老齢厚生年金と加給年金はセットなので、老齢厚生年金を70歳からの支給にすると加給年金はなくなってしまいます。しかし、老齢基礎年金は切り離して70歳からもらうことができ、そうすれば年金額も増えるので、70歳以降の収入ダウンは小さくなります。

定年後も「雇用延長」で働くなら、退職は65歳の1ヶ月前に「雇用延長」で働くという方の多くは、65歳まで働いて退職し、その後に年金をもらっ
て年金生活に突入するというパターンが多いのではないでしょうか。

その場合、退職するなら65歳ではなく、その1ヶ月前に辞めたほうがおトクです。なぜなら、65歳になる1ヶ月前に辞めると、「雇用保険」と「老後の年金」の両方を手にすることができるからです。

失業給付は、65歳までに会社を辞めた場合に、次の仕事につくまで90日から120日分一定額をもらえますが、65歳を過ぎると「高年齢求職者給付金」という名前になって一時金で30日もしくは50日分の手当をもらいます(失業認定は1回限り)。

両者を比べると、65歳の誕生日を迎える前に失業給付としてもらったほうが、有利になるのです。

だからといって、63歳くらいに辞めてハローワークで求職の申し込みをすると、一定期間は、60歳から65歳までの間にもらえる特別支給(報酬比例部分)の「老齢厚生年金」がもらえなくなります。

失業給付と65歳までにもらえる特別支給の老齢厚生年金は、同時にもらうことができないようになっているからです。

特別支給の老齢厚生年金は、男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前に生まれている人の場合は、年齢によって期間が異なりますが受け取ることができます。

65歳前に退職する場合は、失業給付か年金かを選択しなくてはなりません。

65歳で辞めると失業給付がもらえませんから、64歳と11ヶ月まで働いて特別支給の老齢厚生年金をもらい、65歳になる月になったらハローワークに行って失業給付申請の手続きをしましょう。

65歳の2日前までは64歳ということで、失業給付はしっかりもらえます。

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