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社会

評価も上司もない「ティール組織」が企業を成長させている現実

倉貫義人(ソニックガーデン代表)

2019年02月19日 公開 2019年07月10日 更新

■Lv2:自分に与えられたリソースで成果を出す

リソースを管理して成果を出す段階です。自分に与えられた時間や予算といったリソースの範囲の中で、どの仕事を優先するか、どの仕事をやめるかを決めて、成果を出します。与えられた戦場において、制約がある中で勝利する戦術を駆使することに似ています。

このレベルになれば、リソースを使って成果を出しさえすればいいので、現場に対する細かなマネジメントは不要になります。リソース配分のマネジメントだけですみます。

●仕事の観点
この段階で身につけておく必要があるのは、プロジェクトマネジメントのスキルです。与えられた仕事をこなしていくのではなく、プロジェクトや事業などの単位で求められる成果を出すために、

「どのような仕事をすると大きな成果になるのか」
「どうすればコストをかけずにすむのか」
「仕事を進める順番はどうすれば待ち状態が減るか」
「どうすればボトルネックを作らずにすむか」

といった、より俯瞰した目線が求められます。

●組織の観点
プロジェクトを進めていくためには、自分だけでなく関係者とも協調していかねばなりません。たとえばデザイナーに頼むような仕事があれば、

「どのタイミングで発注するのか」
「進んでいるかどうか確認するのはいつか」

を把握して、随時計画をアップデートすることで、滞りなく進めることができます。細かい報告や連絡よりも、関係者や上司との雑談の機会をつくり、その中で相談もしながら問題解決していきます。

●自分の観点
求められる水準は、継続的に安定したパフォーマンスを出せることです。健康を維持することや、精神的な浮き沈みで仕事に影響を出さないことが大事です。

そのために、働きやすい仕事環境を整備することやルーティーンを作ることもあります。特にセルフマネジメントで気をつけるのは、メンタルの安定性です。まわりの評価に一喜一憂せず、自分の成果に対して自画自賛できるくらいがちょうどいいのです。
 

Lv3:自分で仕事を見つけて成果を出す

このレベルになれば、ついに他人から管理されることは不要になります。自分自身の裁量で、その会社やチームにとっていいと思えることであればなんでもやるし、リソースの管理も自分で考えるようになります。

しかし、組織やチームに所属しているからには、組織のビジョンや目的を理解したうえで、

「どの戦場で戦うのか、それとも戦わないほうがいいのか」
「目的を達成するためにどういった貢献をすればいいのか」

といったことを考えなければなりません。また、価値観や企業文化なども無視できません。

●仕事の観点
所属する会社や組織のビジネスモデルを理解していることが条件になります。ビジネスモデルとは、お客様はだれで、困っていることをどうやって解決するのか、そこに付随する人とお金の流れのことです。

ビジネスモデルを理解していれば「何をがんばることが会社にとっての利益になるのか」を把握したうえで行動できます。
 また、社内にある問題や課題を見つけたり、将来のリスクを察知したりすることでも仕事は見つかります。

●組織の観点
組織の観点では、セルフマネジメントができる人たち同士で、互いに協力しあいながら、大きな成果を出すことが必要です。セルフマネジメントでは、戦略を立てるうえで自分を中心に据えて考えることになりますが、より大きな成果を出すことは自分だけでは実現できません。

周囲とのコミュニケーションは欠かせません。しかも、指示命令の関係ではなく、互いに対等なまま成果を出すことが求められます。

●自分の観点
自分の観点でも、戦略的な視点が必要となります。マネージャーや上司がいなくても、自分自身で個人的な目標設定をしたり、成長するための課題設定ができないといけません。未来のことにも自分で目を向ける必要があります。このレベルになれば、自分自身の成長に責任を持つのは自分自身なのです。

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互いに信頼しあうことで、自己組織化されたチームになれる

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