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「煙草は吸わず、酒も控えめ。熱心に筋トレ」健康を追求した人が“がん”になって思うこと

大津秀一(早期緩和ケア大津秀一クリニック院長)

2019年04月29日 公開 2019年04月29日 更新

 

病気になっても負けないレジリエンスを鍛える食事

病気を避けようとノイローゼのようになってしまっても、それは避けようがないですから、心配し過ぎるのは得策とは言えません。

昨今では、先進国の主要な関心事が、健康とその増進・維持法となっています。食べものや栄養が健康に与える影響を過大評価する「フードファディズム」と呼ばれる傾向すら、生まれています。

サプリメントの市場規模は、1位のアメリカでは約2兆円、2位の中国も僅差、3位の日本は約6、000億円(諸説あり)だそうです。

しかし、そこまで健康を追及しても、若々しさや寿命は必ずいつか潰えます。重要なのは、健康が損なわれる事態となっても負けないレジリエンス(「抵抗力」や「耐久力」)を強化しておくことです。

レジリエンスを高めるためには、感情のコントロールや自尊感情、自己効力感を高めることが重要だと言われていますので、日々の生活でも意識するといいでしょう。

厳しすぎるダイエットや運動は、失敗や中断のリバウンドで「自分はだめな人間だ」と責めてしまい、自尊感情や自己効力感を下げてしまいます。そのため、無理のない方法で継続することが大切です。

血糖が極端に上がったり下がったりすることは、感情のコントロールに影響を与えるという意見もあります。食事を腹八分程度におさえると、血糖も適度に維持されて、感情の安定にも良い影響を与えるかもしれません。

さらに、アメリカの論文によると、サバやイワシなどの青魚などn-3系脂肪酸が豊富な食事を摂っていると、不安が減ることも指摘されています。n-3系脂肪酸のドコサヘキサエン酸が脳に移行すると、このように作用すると考えられています。

健康や病気への不安を消そうと無理に頑張らなくても、食事と運動を改善すれば自然とレジリエンスが身につくかもしれませんね。

 

健康を失うことを恐れ過ぎずに「ほどよく健康に気をつける」

健康に気をつけることは大切です。ただ、健康を失うことや病気になることを恐れて、精神的バランスを狂わせることのない程度に、「ほどよく」健康に気を遣うことが、究極の健康法だと思います。

その指針となるのは、科学的に紹介された食事と運動法です。「〇〇が健康にいい」、逆に「✕✕が危ない」といったファスト理論に左右されることなく、正しい情報に基づいた心がけさえあれば、お金をかけずに健康寿命を延ばすことができるはずです。

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