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「好きなことをして自由に生きていく」に潜むワナ

山本健太郎(国際税務リサーチングエディター)

2019年05月07日 公開 2023年09月05日 更新

「好きなことをして自由に生きていく」に潜むワナ

自分自身に市場価値がないのに会社を辞めてしまう危険性

「好きなことをして自由に生きていく」

……最近、こういったワードをよく目にする。好きなことをして生きていく。そして、起業、自由に働く、転職。各ニュースポータルサイトを見ていても、また実際に売れている書籍を見ても、このようなテーマ・キーワードをよく目にする。

近年は働き方改革、人生100年時代など、既存の会社員人生からの脱却が各方面で叫ばれているが、果たして本当に誰もが好きなことをして自由に生きていけるのだろうか。

 

学生時代には見えなかった「社会の現実」

実際、私もこれらの言葉に誘惑された一人である。大学卒業後、生命保険会社へ入社。良い大学・良い企業へ入れば、60歳まで会社員生活を送り、定年退職後に自分の好きなことをして生きていける、それなりのしあわせな人生を手に入れることができる。当時は、本当にそう考えていた。

しかし、待っていた現実はまったく異なる。連日のパワハラにサービス残業、下がり続ける給与。何よりも苦痛だったのは、家族・友人と過ごす時間がまったくないこと。私はこの時、「金より自由に使える時間が大切だ」そう考えるようになった。

 

そこで出会った起業、転職の本

当時、この先どうすれば自分の追い求めるしあわせな人生を送れるか真剣に考えていた私は、次のような言葉に溢れる書籍に影響を受けた。

「自由に好きなことをして生きていく人生こそしあわせ」

「自分が本当にやりたい、好きな仕事をしよう」

「周りの目なんて気にするな、とにかく飛び出せ」

こういったワードに影響され、「会社を辞めても転職、起業、フリーランスで生きていける」「会社を辞めれば、自分の自由な時間を手に入れ好きな仕事ができ、好きな人生を送れる」……会社員なんて今すぐやめるべき、最悪やめても人生どうにかなる、そう考えた。今、思えば非常に浅はかな考えであった。

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