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映画『電止め!』はパクリスペクト精神だ!~中田敦彦 × 寺井広樹、おおいに語る

中田敦彦(オリエンタルラジオ),寺井広樹(⽂筆家/日野プロダクション代表)

2019年07月01日 公開 2023年01月11日 更新

映画にも銚子電鉄のお家芸パロディーとホンモノ感重視を

寺井 銚子電鉄が仕掛ける商品のほとんどは、もともと人気がある商品のパクリです。しかし、ただ形や見た目などを真似をするのではなく、パロディーという味付けをするという共通点があります。

中田 そうそう。寺井さんが企画した「まずい棒」や、サバとサバイバルをかけた「鯖威張る弁当」ですよね。

寺井 はい。もう一つはニセモノの中にあるホンモノ感というのも銚子電鉄が行う商品開発のテーマになっていると思うんです。このパロディー好きとホンモノ感重視、このお家芸とも言える精神を映画作りの中にも反映させたいと思いました。

その一つとして、日本にとどまらず欧米でも人気のホラー漫画の第一人者である日野日出志先生に、電車に取り憑く子どもの霊「丑雄くん」のキャラクターをデザインしていただきました。

中田 なるほど。ふざけるところはふざけるけれども、クオリティーを求めるところはしっかり押さえているということですね。クオリティーの高さが求められるところをいい加減にすると、ふざけているところも生きてこないと思います。結局、大事なのはメリハリ、緊張と緩和です。

銚子電鉄
 

他業種だから、非常識なアイデアを押し通せる

寺井 映画は8月3日(土)に先行公開を予定しているんですが、それに合わせて、あたらしい味の「まずい棒」を発売します。

中田 へーえ。どんな味なんだろう? 銚子電鉄がやるんだから、常識的なものじゃないですよね。

寺井 ぬれ煎餅味。

中田 菓子を菓子の味で説明されてもなあ……。複合的にパクって、「パクリ渋滞」が起きているからわかりずらいなあ。でも、そこが銚子電鉄らしさだから「仕方ない」と笑うしかないです。

寺井 逆に、「まずい棒」味のぬれ煎餅も出そうかと……。ほかにも、⽇野日出志先⽣に描いていただいた「まずい棒」のキャラクターの原案が最初、⽬が⾎⾛って怖かったのですが、それを前⾯に出して1本100円、「スーパーまずい棒」とネーミングして発売しよ うかと……。売れると思いますか?

中田 それは……、売れないと思います(笑い)。売れないと思いますが、銚子電鉄なら売れないというのを面白がって、結局、売っちゃうんでしょうけれど。もうパニック状態ですね。

でも、思いついたことはすべてやってみるというくらいのほうがいいと思います。これは『労働2.0』にも書いたんですが、「他業種だから、非常識なアイデアを押し通せる」という面があると思うんです。銚子電鉄の本業はお菓子製造業でも食品販売でもない。だから「なんだこれ?」というようなアイデアが出せるのだと思います。

それが、本来の鉄道業存続のためという銚子電鉄のストーリーに沿っているからファンも支持してくれる。そこを承知している竹本(勝紀)社長は、笑っちゃいますが、強(したた)かですよね。強かだから、映画まで制作してしまう。

寺井 じつはですね、銚子電鉄の帝国データバンクでの登録情報は、「鉄道会社」ではなく「米菓製造」なんです(笑い)。売り上げの7割がぬれ煎餅の収益ですから、もはや「お菓子屋さんが鉄道を走らせている」という状態なんです。

中田 そうなんですか。でも、思いついたことは全部やる。会議で出たことは全部やる。僕はそういう仕事の仕方が好きです。そういう取り組み方に面白さを感じて、さらに新しい銚子電鉄ファンが増えると思います。

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