「成功したプロ野球選手」たちは、親から何を教わってきたのか?
2019年11月25日 公開 2024年12月16日 更新
読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズでプロ野球選手としてプレーし、その後、解説者、指導者としても活躍した仁村薫氏。現在は家業を継ぎ、川越で農業を営みながら、子どもたちに野球指導をするなど幅広く活動をしている。
そんな仁村氏と、国際金融論の専門家である真田幸光氏の出会いは二人が、それぞれ早稲田と慶應の野球部に所属していた大学生時代に遡る。真田氏が早稲田野球部の寮を訪問したときに、当時2年生で電話番をしていて、対応したのが仁村氏だったという。
その後、仁村氏が中日ドラゴンズの指導者、真田氏が愛知の大学に勤務しているときに、仁村氏からの依頼で真田氏がドラゴンズの二軍の若手選手に向けて講演をするなど縁は続く。
そうした縁から実現した、真田幸光オンラインサロン「経済新聞が伝えない世界情勢の深相~真田が現代の戦国絵図を読む~」での二人の対談。
今回は、その対談で仁村氏が語った人材育成についての話の一部を紹介する。
※本記事は真田幸光オンラインサロン「経済新聞が伝えない世界情勢の深相~真田が現代の戦国絵図を読む~」内で公開された内容より一部を抜粋・編集したものです。
野球の指導で子どもではなく、保護者に真っ先に伝えること
私の名前の「仁村」という漢字ですが、5代前は「二村」で「にんべん」がついていなかったそうです。4代前のご先祖様が「仁」という字をもらったのだと聞いています。
「仁」というのは慈愛、慈悲の心で、儒教における重要な徳の一つです。
どういう経緯だったのかはわかりませんが、この「仁」という名字をいただいたことは大変ありがたいですし、この字にふさわしいように社会に貢献したいと思っています。
特に私は、野球をやってきたので、野球で恩返しをしたい――そんな思いから、今、子どもたちの野球指導に携わっています。
野球指導で意識しているのは、スキルやテクニックだけの育成はしないようにしよう、ということ。これは中日ドラゴンズの指導者時代から大切にしている教育指針です。
私は、野球指導をするときに、こうした自分の指導スタンスをまずは保護者にお話しするようにしています。
「今回、ご縁があって野球の指導をさせていただくことになりましたが、私の指導の根本は、野球を通しての人間教育です。野球を通して、人として大切なことを伝えたいと考えています」ということを申し上げるのです。
また、そうした指導スタンスから保護者には、自己管理(身体も含めて)について、子どもが野球の練習から帰ってきたとき、自分でできることは自分でさせてください、とお願いしています。
たとえば、野球の練習をするとユニホームは泥だらけに汚れます。でも、保護者の方には、その汚いユニホームを洗わないでください、とお伝えするのです。
ユニホームが汚かったら、汚いユニホームのまま、そこに置いておいておきます。汚いユニホームをかばんから出し、泥を落として、つけ置きして、洗濯機にかけるなんてことを親がしてはいけません。
ユニホームをかばんから出し、泥を落として、それを洗剤か何かにつけるということは子どもにだってできることです。それならば、そこまでは、まずは子どもに自分でさせればいいのです。
「ここまでしたので、あとは洗濯機に入れて洗ってください」
そう言われて、初めて親が手を出してください、ということをお話しています。
「自分でできることは自分でする」
「今、何をすべきか」
たえず考えさせる習慣を私生活の中で学ばせることが大切です。常日頃から意識をして続けていけば、人は変わり、結果が伴います。