企業再建のプロが見送り続けた「不要とされてしまった社員たち」の共通点
2020年02月14日 公開 2020年02月14日 更新
海外での会社経営に携わり、1000億円以上の黒字化に貢献した企業再建プロフェッショナルの小早川鳳明氏。常に短期間での成果が求められるポジションで、常に結果を出し続けることは至難の業である。
結果、小早川氏も「その裏側で多くの従業員の⼈⽣を⼤きく変えてしまったことも事実です」と語るように、短期間に経営再建・改革を推進する過程では、従業員たちが退職を余儀なくされていく状況も目の当たりにしてきた。
本稿では、小早川鳳明氏の著書『日本人が知らないプロリーダー論』をもとに、同氏が「生き残る社員と会社を去った社員」の違いについて指摘する。
※本稿は小早川鳳明著『ハーバード・MIT・海外トップMBA出身者が実践する 日本人が知らないプロリーダー論』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。
有名大企業が続々と早期退職を募集する時代
数々の大企業の経営改革に携わった私がみてきたのは、異なる2つのタイプの異なる会社員です。
1つは、出世コースに乗り社内でも高い人事評価をたたき出している会社員、もう1つは、どんなに頑張って必死に働いてもなかなか昇進できず良い人事評価もされず、ゆくゆくは早期退職希望募集の対象やリストラ対象とされる会社員です。
頑張っても評価されないサラリーマンは、近年、リストラをされるリスクが高まっています。
実際、昨年はオンキヨー、味の素、LIXILグループなど数々の有名大企業が早期退職希望募集を行いました。本稿では、普通のサラリーマンが社内で成果を出し、評価を高めリストラ対象にならない方法を解説します。
努力が評価されないのは、利益に貢献できていないから
普通の会社員が頑張って仕事をされてもなかなか評価されないのは、その頑張りが会社の利益に貢献していないからです。
頑張っても評価されない会社員の典型的な例を紹介しましょう。
飲料メーカーの研究開発部でレシピ開発を担うAさんは日々深夜まで様々なレシピ開発に取り組んでいます。他の同僚が毎月10個の新レシピ案を生み出すのに対して、Aさんは実にその3倍の30個の新レシピを生み出します。
しかし、Aさんは一向に評価されることはありませんでした。
なぜなら、Aさんが開発するレシピは斬新性はあるものの、奇抜な味のレシピばかり。他の同僚は、一般人に幅広く好まれ"売れる"レシピを開発していたのに対して、Aさんは会社の利益に貢献すべきという自身の本来の役割を忘れ、利益を生み出さない仕事を行っていたためです。
他の典型的な事例も紹介しましょう。調達物流管理担当のBさんは、日々の物流のトラブル対応に邁進していました。深夜まで会社に残りトラブル処理をしています。
しかし、Bさんは一向に高い評価を得られませんでした。なぜなら、トラブル対応は会社の利益向上に大きく貢献しないからです。
一方、Bさんの同僚は、物流のコスト削減のために、調達先や物流委託先に対して新しい条件を次々と持ちかけ、値下げ交渉に取り組んでおり物流コストの削減に貢献し、みるみる出世していきました。
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生き残りたいなら、営業利益にとことんこだわるべき