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アメリカ国民の4割が進化論を否定!?…政治をも動かす「宗教の力」



2020年03月04日 公開

西山隆行(成蹊大学法学部教授)

 

人工妊娠中絶をめぐる大論争

人工妊娠中絶をめぐる問題も信仰心に基づき大争点化する。

篤(あつ)いキリスト教信仰を持つ人物が宗教的信念に基づいて、中絶手術を行った病院を爆破する事件がアメリカで何度か発生したと聞いてどう思うだろうか?

このような事件は最近では減少しているものの、2001年には中絶手術を行うクリニックが襲撃ないし封鎖された事件が795件あった。

人工妊娠中絶は、保守派とリベラル派による文化戦争の主要争点となっている。

中絶容認派は女性の選択を重視するという意味でプロチョイス派(選択重視派)と呼ばれ、中絶反対派は胎児の生命を重視する観点からプロライフ派(生命重視派)と呼ばれる。

中絶問題は、妊娠した人の身体に関する自己決定権をめぐる問題と位置づけることもできるので、アメリカのフェミニズム活動家の中でも中心的な争点とされた。

他方、プロライフ派には宗教右派と呼ばれる保守派が多い。彼らは旧約聖書の創世記にある「産めよ、増えよ」という神の言葉や、モーゼの十戒の一つである「汝殺すなかれ」を、神が中絶を禁じた言葉と解しているのである。

アメリカの中絶問題の転機となったのは、1973年のロウ対ウェイド判決である。

同判決は、妊娠を継続するか否かに関する決定を女性のプライヴァシー権に含まれると判示し、人工妊娠中絶を規制する法律の大部分を違憲無効とした。

そして、妊娠期間を三つに分け、第1期は政府は中絶を禁止してはならず、第2期は政府は中絶を禁止してはならないが母体の健康のために合理的な範囲内で中絶方法を制限することができ、第3期には中絶を禁止することができると判断した。

妊娠期間を三つに分けるこの枠組みは1992年の判決で覆されたものの、ロウ判決は女性に人工妊娠中絶の権利を認めた画期的判決と位置づけられている。

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