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「訪問数にこだわる営業」はなぜ通用しなくなったのか?

2020年02月28日 公開

梅澤真由美 (公認会計士、管理会計ラボ株式会社代表取締役)

 

非効率な営業を効率化する4つのステップ

昔の営業は「足で稼ぐ」時代でした。相手先を訪問するにも「ご機嫌うかがい」と称して近況を知り、会話のなかからビジネスチャンスを見つける行為が称賛されていました。

しかし、今やそれは時代遅れの象徴です。相手が興味・関心を持っているかどうかわからないのに、わざわざ時間と交通費をかけて会いに行き、パンフレットを見せて相手のニーズを探り出さないと商談が始まらないのは、まさに非効率の極みです。

いまはホームページもあり、そこにさまざまな商品や会社情報が書かれているので、わざわざ説明に行かなくても自分の会社のことは知ってもらえます。

むしろ、興味・関心をもってくれている相手は、知っていて当然。

裏を返せば、アピールしなければ知ってもらえないのは、興味・関心をもってくれない相手です。そのような相手に営業しても、成約の確率は限りなく低く、時間の無駄以外の何物でもない。今は、興味・関心をもって来てくれた会社にだけ提案する、そんな時代です。

【STEP1 コストをあぶり出す】
これまでの営業スタイルは、どちらかといえば人件費を無視していたといえます。営業にかかるコストは、交通費が大半だと思われていました。しかし、ファイナンス的にはもっと大きいコストがかかっています。営業のための人件費です。

取引先に行くのは、限られた労働時間のなか、他の取引先への訪問をあきらめる必要があります。つまり機会コスト(選択肢が複数あった場合、もう一方を選んでいたら得られたであろう利益のこと)が発生しているのです。

人件費が最も重いコストである以上、受注の可能性が高い相手先から優先する姿勢が、これまで以上に重要になっています。

【STEP2 時間のズレをとらえる】
営業ツールとして、紙に印刷されたパンフレットやチラシが使われています。これはまさに初期投資です。

一方、最近はiPad やノートパソコンなど、モバイルデバイスを持ち歩き、画面を見せ説明するケースが増えてきました。

モバイルデバイスであれば、顧客のニーズや会話に応じて画面を変えることができ、効果的な営業につながります。紙のパンフレットでは顧客が聞きたい説明をする機会を逸してしまい、顧客の望む商品の受注に失敗するかもしれません。その場合、売れなかった商品から得られたはずの利益は機会コストになります。

情報の修正や更新もデータのほうが容易です。よくシールで一部分を訂正したパンフレットを見る機会がありますが、印刷物は一度刷ってしまうと変更が容易ではありません。

シールで修正するにしても、シール貼りの人件費がかかります。さらに、印刷した販促資材は一定数を保管し、個数を把握して不足したら発注する必要もあります。その管理にも人件費がかかります。これに対してデータは欠品することがないので、これらの手間が不要です。

このように、機会コストや在庫に関するコストの観点からも、最近の営業スタイルは理に適っているといえます

【STEP3 比較する】
どの営業スタイルが効果的なのかは、実際のところやってみないとわかりません。異なる営業方法を実際にやってみて、その結果を両者で比べて判断する方法がしばしばとられます。実際の売上にどのくらい影響があったのかを確認するのです。

インターネット・マーケティングの世界では、ABテストが採用されます。閲覧者によって異なるAとBというサイトを表示し、どちらが売上につながったのかを実際に検証するのです。その結果、Bのほうが売上が伸びたのであれば、Bのサイト表示を本格展開します。

【STEP4 分解する】
売上を伸ばすための方程式に「訪問数×成約率(受注率)」があります。ただし、私はだからこそ訪問数を上げればいいと言いたいわけではありません。

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