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「訪問数にこだわる営業」はなぜ通用しなくなったのか?

2020年02月28日 公開

梅澤真由美 (公認会計士、管理会計ラボ株式会社代表取締役)

 

訪問数ではなく受注数を増やすことを目指す

この分解方法は、営業部門のKPIになっていることも多いので、単純に訪問数を上げればいいと誤解されやすいのですが、ただ訪問数を上げても効果は限定的です。

むしろ、さまざまな営業上の「手数」を増やすだけで、最終的には残業代などの人件費、他のことに使えた機会コスト、移動のための交通費の増大につながってしまいます。

病院の医師を相手にする営業マンが、中小医院の顧客には、午前8時に営業電話をかけるのが効果的だという話をしていたそうです。昼間の時間帯にかけると、受付や看護師が電話に出るため取り次いでもらえません。

ところが、朝8時の時間帯はまだ彼らが出勤していないので、隣接した自宅などに住む院長自身が電話に出ることが多く、直接営業ができる。そのため、意思決定が早く確実になって受注率が上がるというのです。

つまり、訪問数ではなく、受注率に注目して売上を伸ばすやり方です。

営業は、かつては足で稼ぐものでした。しかし、ビジネスパーソンが多忙化し、デジタルの活用によって見込み客を見つけやすくなった現代においては、より効率を重視する営業スタイルに変える必要性が高まっています。

ただし、新規顧客も増やさなければビジネスは拡大しません。たとえば、見本市に出展すれば、興味のある客に対してまとめて面談することができます。

もちろん出展料はかかりますが、見込み客という受注の可能性が高い顧客であること、移動などの間接時間が発生しないことから、効率的に商談を詰められる意味で効果的な手法です。

最近のイベントは、たくさんの人を集めるのが目的ではなく、成約率を上げることを重視しているそうです。むしろ来場者数は少ないほうがいい。そんなKPIを掲げる会社さえ出てきました。

 

従来の要素分解が通用しなくなってきた

ミサワホームの営業マンは、最終的には建て替えにつなげるため、空き家に関する相談セミナーを開催しています。

しかし、成約に至るケースが少ないのが悩みの種でした。首都圏のセミナーには100組から200組の来場者が集まりますが、セミナー後の個別相談の利用者がひと桁の日もあったそうです。

このような事態に陥らないようにするためには、本当に興味・関心のある人しか来場させないようにするしかありません。あるいは、本当に興味・関心のある人を発掘し、効率を上げる必要があるのです。

ミサワホームでは、空き家の家主のニーズを分析して、セミナーのテーマを絞り込んだといいます。そうすることで、興味・関心をもってくれる顧客が増えてきて、最近では個別相談の参加者は10組から20組に増加したそうです。

このように、ファイナンスは、従来の要素分解が通用しなくなってきた現実を浮き彫りにし、より効果的な方法を模索する手法として優れているのです。

このファイナンス思考を身につければ、一見、判断が困難な案件も、明確な基準をもって意思決定することができます。

みなさんもぜひ"ファイナンス思考"でよりよい未来を選びとってください。

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