本田宗一郎に引退を決意させたエンジニア…「若手の声」こそが企業を変える!
2020年02月25日 公開 2024年12月16日 更新
誰もがこう思ったはずである。「なぜ、あの名経営者、カルロス・ゴーン氏が、あそこまで暴走してしまったのか。制御できる人はいなかったのか」と。
そんな世相も背景に、企業におけるマネジメントで重要なのは「フォロワーシップ」であると、伊庭正康氏は語る。「フォロワーシップ」とは、もともとはカーネギー・メロン大学教授のロバート・ケリー氏が提唱し、グローバルスキルとして広まった理論。
伊庭氏は「これまで約5000人に確認したが、知っているのはわずかに3%程度。実践している人もやはり3%」と語る。
本稿では同氏の著書『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」』より、フォロワーシップによってあの本田宗一郎氏を動かした若きエンジニアたちを例示して解説した一節を紹介する。
※本稿は伊庭正康著『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」』より一部抜粋・編集したものです。
トップダウンでは変化のスピードについていけない
フォロワーシップとは、部下が上司をサポートする姿勢のことを言います。
フォロワーシップに注目が集まったのは、カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が、1992年に出版した著書『The Power of Followership』(邦訳『指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ』牧野昇訳/プレジデント社)で、この概念を「フォロワーシップ」という言葉で表現したのが始まりです。
同書では、「組織の成功の8割は部下のフォロワーシップによって決まる」とまで言っているのですが、あながち言い過ぎでもない、そこに企業は注目しました。
当時のアメリカは、双子の赤字(貿易赤字、財政赤字)を抱え、経済が衰退傾向にあり、ニューヨークのロックフェラーセンターは三菱地所に買収され、ハリウッド映画の中心にいたコロンビア映画はソニーに買収され、ホノルルにあるアラモアナセンターもダイエーに買収されるなど、彼らのシンボルが次々と外資に塗り替わっていく状況でした(今では想像もできませんが)。
また、上司の間違った判断を制御する役割が必要になってきたのもこの頃でした。
そんな背景もあり、「これまでのリーダーの経験だけでは乗り切れない」という空気が、ビジネス界に広まっていたのです。
そして、今、日本にもこのフォロワーシップの潮流は来ています。実際、私も多くの大手企業の中堅社員研修でフォロワーシップ研修の相談をいただくようになりましたし、企業がフォロワーシップを持つ人材を切望していることを実感します。
では、なぜ今、日本で、急速にフォロワーシップが必要になってきていると思いますか?
それは、経営者が現場の想像を超える「強い危機感」を抱いているからにほかなりません。「上意下達では生き残れない」と真剣に考えているのです。