世界のプレゼン大会で成否を左右する、「つかみ」の3大ポイントとは?~フランス・香港・シンガポールからの教訓
2020年02月27日 公開 2024年12月16日 更新
世界的VIPが大絶賛!!あのジム・ロジャーズ氏(世界3大投資家)、チャン・キム氏(”ブルー・オーシャン戦略”INSEAD教授、BCG Chair Professor)、竹中平蔵氏(世界経済フォーラム理事)、中野信子氏(脳科学者)が絶賛した、世界最高水準の「コミュ力」の神髄とは?
”グローバル・エリート”ことムーギー・キム氏が「誰でも直ぐ、簡単に取り入れられる教訓」をコンセプトに完全に書下ろした「ビジネス・コミュ力の教科書」、新刊『世界トップエリートのコミュ力の基本~ビジネスコミニュケーション能力を劇的に高める33の教訓』を元に、著者が短期集中連載をお届けする。
タクシーの運転手さんとの会話を、世界の投資カンファレンスで話すネタに使うワケ
プレゼンでは、「本論につながる小話で、聴衆を楽しませること」が大切だ。ユーモアを含め、相手を楽しませると自分を好意的に見てもらえるので、仕事もやりやすくなる。そのユーモアが教訓やメッセージにつながっていれば、効果もひとしおである。
効果的な「つかみ」として有効なのは、身近な経験をプレゼンの導入にすることだ。私はこれまで、さまざまな国で開かれるプライベート・エクイティ・ファンドのプレゼン大会に参加してきた。
そのうち、シンガポールと香港では、ベストプレゼンターに選ばれている。私がこのような場で意識しているのは、自分の体験をネタにした小話で、読者の気持ちを和らげつつ、本筋に引き込むことである。
たとえば、シンガポールでのプレゼン大会では、シンガポールに発つ前に、東京の羽田空港へ向かうタクシーの車中で交わした運転手との会話を生かした。
「空港に向かうタクシーの中で、運転手さんに『景気はどうです?』と聞いてみたら、『落ち込んでますねえ。お客さんは減っているし、報道されているよりも実体経済は悪いんじゃないですかねえ』という答えが返ってきて、『そうか、大変だなあ』と思ったんです。ただこれは、バイアウトファンドの投資家にとっては、非常にいい機運です。なぜなら、不採算部門の売却につながるからです」という具合だ。
また、フランスのプレゼン大会では、プライベートのネタを織り込んだ。
「フランスに来る前に、私の彼女に『香水をお土産に買ってきて』と頼まれたんですよ。これには私、とても困りました。なぜなら、今は円が弱くなってしまって、ユーロ立てで買うと高くつくんですよね。ただ、私にとってはひどい話ですけども、日本企業への投資をユーロ建てで考えている皆さんにとっては、絶好の機会ですよ」
PEファンドのプレゼン大会では、経済状況や自分のファンドの特徴的な戦略などを、生真面目に訴える人が多い。誰が出てきても同じような内容ばかりで、オーディエンスは正直、聞き飽きてしまう。
そこへ、タクシー運転手や彼女の話が出てくると、最初は「この人、頭がおかしいのか? 何の話をしているんだ?」とけげんに思われる。しかし、それがプレゼンの本筋につながってくると、「なるほど、この伏線だったか」と、印象は一転する。おまけに他の堅苦しい話し手とは違って、愛嬌のある親しみやすい話し手だと親近感を持ってもらえるのだ。
しかも出だしのユーモア部分で仮にすべっても、「この本筋の導入であり、決して滑ったわけではない」と、メンツを保つことができる。