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新型コロナが破壊した「既得権益が守り続けてきたもの」

守屋実(新規事業立ち上げプロフェッショナル),鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

2020年04月28日 公開 2024年12月16日 更新

新型コロナが破壊した「既得権益が守り続けてきたもの」

《新型コロナウイルス感染拡大は、多くのビジネスにとって深刻な打撃を与えている。新型ウイルスという目に見えない敵が、ある日突然に消滅することも考えにくく先行きは不透明である。この状況下においては、新型コロナ以前のビジネスが通用しない状態がまだまだ続いてしまう可能性が大きい。「コロナ大不況」を唱える識者も多い。

ラクスル、ケアプロなどの創業に参画し、博報堂、JAXAなどのフェローであり、内閣府の有識者委員、山東省産業情報技術省の人工知能上級顧問を歴任し、2018年2か月に「ブティックス」と「ラクスル」を連続上場し、さらには『新しい一歩を踏み出そう』を上梓した、まさに新規事業創出の専門家の守屋実氏。

本稿では、そんな守屋実氏に、作家エージェンシー代表で、かつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある鬼塚忠さんが、この苦境の中における新規ビジネスのチャンスがあるのか、資金は確保できるのか、そしてビジネスの在り方をどう考えるべきかについて聞いた》

 

厳しい状況のなかに「勝機」と「商機」は確実に存在する

(鬼塚)新型コロナウイルスが引き起こす世界的な混乱は今も先行きが見えたとは言えず、予断を許さない状況です。誰もが、命の方が大切なので、ビジネスどころではなくなってきました。守屋さんは、過去50社を起こし、今どんな状況ですか?

(守屋)はい、いま50歳なのですが、その年と同じ数だけ新しい事業を起こしてきました。ただ、「50社の起業」ではないです。50の新規事業です。

内訳は、ミスミグループ本社での企業内起業経験が10年、エムアウトというミスミ創業者の田口さんが創業されたオーナー企業での企業内起業経験が10年、守屋実事務所としての独立起業経験が10年、この「合計30年」の間に参画した新規事業の数が50です。これまで失敗を気にせず担当させていただきました。本当に貴重な経験をさせてもらいました。

(鬼塚)多くの新規事業の経験をお持ちなのですね。敬服に値します。しかし、このコロナでは、たとえ、それだけの経歴であっても、この津波のような状況には抗えないのではないですか?とても大変だと思います。正直、どう思っていますか?

(守屋)大変か大変じゃないかと問われたら、どう考えても大変だと思います。全世界での一大事ですからね。ただ、大変だと騒ぐだけでは何も生まれない。傍観者になってしまいます。より悪い方に転がってしまいかねません。大変ななかでも勝機や商機は確実に存在します。そこを探るべきだとも思います。

 

既得権益を抱えてきた業界に、白地のサービスが生まれている

鬼塚忠氏(右)は経営者として、守屋実氏に難局でのチャンスの見出し方を聞いた
鬼塚忠氏(右)は経営者として、守屋実氏(左)にこの難局にチャンスが存在するのかを率直に聞いた。

(守屋)例えば、いま、外食はとても大変なことになっていますが、コロナだからと人の胃袋の数が減る訳ではありませんよね。Stay Homeであっても、時間が経てば人のお腹は減ります。

だから、食の市場がなくなってしまったと言うわけではなく、外食が中食や内食に変わっただけです。食べ物の人の口へ入る経路に変化があっただけです。そして、その変化に目を向けるか向けないかで勝負の行方はおのずと見えてきます。

外食産業には「不」が生まれますから、その「不」を解消するサービスが必要ですし、いきなりStay Homeになったら、その慣れない生活に「不」が生まれ、その「不」を解消する新しい何かが求められるのです。

(鬼塚)不を見つけて、そこを解決する方法を探せば商機が見えてくる。商売の基本ですよね。例えばどんなことですか?

(守屋)外食産業ではないですが、例えば、これまで、IT化を拒んできた保守的な産業にも大きな変化が現れました。それが、医療や教育、そして行政です。オンラインによる「遠隔診療」のような、既得権益者が拒んできたサービスを、世論に押され、導入せざるを得なくなってきたのです。

これまでそういった産業の進歩は止まっていました。そこが一挙に動いたのです。止まっていた分だけ手つかずの白地の市場が眠っています。もちろん、簡単なことではないのはわかっています。

ですが、このコロナで動きました。動かなかったものを動かすより、動き始めたものを動かす方が100倍ラクです。いまが絶対、チャンス到来なのです。

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既得権益側が一歩後退。しかし新規参入者は「資金」をどうする?

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