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新型コロナが日本に示した「既得権益者のための市場」 の限界

守屋実(新規事業立ち上げプロフェッショナル),鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

2020年04月29日 公開 2022年12月21日 更新

新型コロナが日本に示した「既得権益者のための市場」 の限界

《新型コロナウイルス感染拡大は、多くのビジネスにとって深刻な打撃を与えている。新型ウイルスという目に見えない敵が、ある日突然に消滅することも考えにくく先行きは不透明である。この状況下においては、新型コロナ以前のビジネスが通用しない状態がまだまだ続いてしまう可能性が大きい。「コロナ大不況」を唱える識者も多い。

ラクスル、ケアプロなどの創業に参画し、博報堂、JAXAなどのフェローであり、内閣府の有識者委員、山東省産業情報技術省の人工知能上級顧問を歴任し、2018年2か月に「ブティックス」と「ラクスル」を連続上場し、さらには『新しい一歩を踏み出そう』を上梓した、まさに新規事業創出の専門家の守屋実氏。

本稿では、そんな守屋実氏に、作家エージェンシー代表で、かつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある鬼塚忠さんが、日本のビジネス、企業のこれからの在り方、ビジネスパーソンの心構えについて聞いた。》

 

すでに新しいビジネスは動き始めている

(鬼塚)守屋さん、日本経済にとって、このコロナは間違いなく災難であり、新規事業もなかなか育ちにくい環境になったと思いますが、このあと社会にはどういう起業が出てくると思いますか?

(守屋)いま起きている「変化」や「不」に対応できる事業が、たくさん出てくるし、すでに出てきていると思います。全世界で、みなが同時に、あらゆる「変化」と「不」にまみれた環境にいる訳ですから、こうしている間にも、それを解決するため、地球上のありとあらゆるところで、おびただしい数の試みが始まっていると思います。

例えば、身近なところで言えば、これまでは会社が仕事場だったのに、いまは家が仕事場です。この突如として現れた職場環境としての新たな仕事場は、まだまだ満たされていないことだらけです。

また、家が仕事場になるということは、通勤から解放されるということです。100%在宅ということは無いにしても、通勤の頻度が下がれば、これまで求めていたほどの通勤利便性はそこまで重要じゃなくなります。

それより、ちょっと駅から離れていても広い家がイイ、郊外だとしてもあまり困らない、もはや多拠点居住にしてみたい、などなど、とっさに考えただけでも数多くあります。

もう少し大きな視点から言えば、変化、特にIT化を拒んできたような、医療、教育、行政などの超保守的な産業にもオンラインの変化の波が押し寄せています。新規事業の観点から今の状況を見ると、今が攻めどきです。

これまで変わって来なかった分、変われる余地がたくさんある。例えれば、固定電話から一気にスマホに変わったようなものです。通信、アプリ、スマホカバーなどなど一気呵成の変化があれば、それだけ商機があるというのはわかると思います。

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大きな環境変化は、新規事業にとってチャンス

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