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コロナ第二波か… 森永卓郎氏が危機感「いますぐ東京23区を封鎖すべき」

森永卓郎(経済アナリスト/獨協大学教授)

2020年07月07日 公開 2023年12月27日 更新

 

都市郊外は「通常モード」だったが…

4月7日に発令された「緊急事態宣言」の対象地域は、大阪府、兵庫県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、福岡県でした(4月16日には全都道府県に拡大)。

しかし私の生活実感で言うと、たとえば埼玉の日高、秩父地域で感染が広がっているとは到底思えません。緊急事態宣言前後で、人の移動もそれほど変化が見られませんでした。緊急時でも「通常モード」です。

知り合いの群馬テレビの局員も、「こっちでは、クルマ通勤が当たり前だから、移動時に感染しようがありません」と言っていました。

ニューヨーク、パリなどの大都市で感染が拡大している状況を考えても、東京23区だけを完全に封鎖すべきだったのではないでしょうか。

ニューヨーク市の面積(約783.8平方㎞)は東京23区(約619平方㎞)と同程度です。封鎖すべき都心部の自粛を求めるだけでは不十分と考えたのか、政府は日本全国という広い範囲に自粛を求めたため、経済的損害ばかり大きくなるという最悪の選択をしたように感じています。

漫然と自粛を求めるよりは、メリハリをつけて、本当に感染が深刻な地域だけを完全に封鎖し、危険度の低い地域は経済に重点を置いても良かったのではないでしょうか。

たとえば、「東京23区から外に出てはいけない、都外から入ってきてはいけない」とすれば、東京23区以外の飲食店やレジャー施設、宿泊施設などは、これほどの影響は受けなかったでしょう。全国の観光施設にとって最大の脅威は、東京からの観光客がウイルスを持ち込むのではないかという懸念だったからです。

また、東京だけに厳しい自粛を求めることにすれば、東京都の事業者への休業補償や都民の生活補償を思い切って手厚くすることができます。

 

すぐにでも都市封鎖はできる

もちろん、東京23区だけ封鎖という戦略が本当に正しいのか、断言することはできません。根拠となる地域別の詳細な感染データがないからです。

しかし日本は都市の封鎖をせずに、感染拡大が抑えられなかったのは事実でしょう。これに対して、「日本は、海外のように都市封鎖ができる法体系になっていないから、政府ができることが限られている」という声も聞きました。

それは、詭弁ではないでしょうか。

たとえば、日本の鉄道事業はすべて認可事業です。国土交通大臣が「止めろ」と言ったら瞬時に止まります。自粛要請に従わずに営業を続けたパチンコ店がありましたが、従わない鉄道会社は1社もないでしょう。

現に大型台風が上陸した時、鉄道会社は計画運休を行ないました。台風で止められるのにコロナで止められない理由はないはずです。

東日本大震災が起きた際、高速道路は緊急交通路の確保のため、災害対策基本法76条第1項で東北自動車道や常磐自動車道を一般車両通行不可として緊急車両用としました。

今回の件で同法を適用するのは無理でも、高速道路は民営化されていても政府が100%株主なのですから、100%株主が「止めろ」と言えば止められないはずがありません。

法的に都市封鎖ができないようになっているにしても、実際はできます。高速道路はもちろん国道も生活必需品などの運送を除き、一般車両は通行禁止にして、鉄道も止めれば可能です。法律上の規定ではなく、実質で考えたらすぐにでも東京封鎖はできます。

今後、いつまた新たなウイルスが出てくるかわかりません。その日に備えて、官民の体制を整えておくことが肝要です。

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