「一夜漬けは効果大!」科学的に正しい目標達成法とは?
2020年07月27日 公開 2024年12月16日 更新
「自分の時間がなくて、やりたいことができない」「色々と先延ばしにしたまま、月日だけが過ぎていく...」。このような「目標達成」に関する悩みを抱えて、日々悶々と過ごしている人は多いのではないでしょうか。
しかし、全国最年少(当時)で市議会議員に当選し、コンサルタントとして数々のプロジェクトを成功に導き、現在はAibnb Japan株式会社の執行役員を務める長田英知氏によれば、どんな目標も「100日」の実行計画を立てれば達成できる、と言います。
そんな長田氏の著書『たいていのことは100日あれば、うまくいく。』の中から、「科学的に正しい目標達成法」について語っていただきました。
※ 本稿は、長田英知氏著『たいていのことは100日あれば、うまくいく。』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
習慣が作られる平均日数は「66日」
今回上梓した新著『たいていのことは100日あれば、うまくいく。』では、私自身がコンサルタントとして100日で成果を出してきた事例や、100日区切りでサイクルを回しているビジネス事例が数多くあることを述べています。
それにしても、なぜビジネスも含めた様々な場面で100日を区切りとした目標設定の制度が取り入れられているのでしょうか。その理由に、実は脳のメカニズムが深く関連している可能性があります。
人間の行動と脳の働きには「習慣化」と「馴化(じゅんか)」の2つの段階があると言われています。例えば、あなたが毎日15分、あるストレッチ運動を行うトレーニングを始めたとします。
最初の何日間かは、教本やビデオを見ながら同じ動きをするのに精一杯で、すぐに次の動きを思い出すこともできないのではないでしょうか。
しかし毎日続けているうちに、トレーニングの内容も次第に頭に入ってきて、うまくやれるようになるとともに、だんだん楽しくなってくるかもしれません。
もう最初の頃ほどには、動きを追うだけで精一杯だったり、やることを嫌に感じることは少なくなっているでしょう。これが「習慣化」です。
しかし、さらに日が経つにつれて、毎日同じストレッチ運動を続けることに単調さを感じ、やがて飽きてきます。この飽きるという状態にも、実は脳の働きが大きく影響していると言われています。
すなわち、脳は初めての刺激に対しては大きく反応するのですが、同じ刺激が何度も繰り返されると、刺激に対する反応が徐々に鈍くなるのです。これが「馴化」と呼ばれる状態です。
では、人はどれぐらいの期間があれば、ある行動を習慣化し、また馴化してしまうのでしょうか。まず習慣化について見てみましょう。ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士が行った研究によると、人間がある行動を習慣化するのにかかる日数は、行動によってばらつきはあるものの、平均で66日であるという結果が出ています。
100日とは「脳が飽きを感じない」期間
一方、「馴化」に関しては別の興味深い研究をご紹介したいと思います。それは恋愛における「魔の3ヶ月」と呼ばれる期間です。人が恋愛感情を持つとき、脳はこの新しい刺激に対応するため「フェネチルアミン」という化学物質を分泌し、これが恋愛初期の高揚感をもたらすそうです。
しかし時間が経って恋愛に伴う刺激が薄れてくると、脳は脳内物質を分泌し続ける必要がなくなったと判断します。この状況は「脳の馴化」と呼ばれます。
この馴化により、恋愛でいうところの最初の頃のドキドキ感がなくなるのです。同様に先ほどのトレーニングでは最初の新鮮さが薄れてしまうため、同じ行動を反復するのに飽きてくるのです。そしてこの脳内物質の分泌が止まるタイミングが約3ヶ月=100日と言われているのです。
私たちが何らかの目標を達成しようとするとき、多くの場合は目標達成のために必要となる勉強や活動を反復継続して行わなくてはなりません。しかし、3ヶ月間同じ行動を続けていると、脳が刺激に慣れてその行動に飽きてしまうのです。
こうした脳のバイオリズムに基づいて考えたとき、新しいことへの挑戦は、できる限り早く行動を習慣化するとともに脳が刺激に慣れる前の約3ヶ月の間に実現してしまう方が適切だと言えるのではないでしょうか。
ビジネスにおける事業管理やプロジェクトなどが、100日を1つの区切りとして考えているのは、この脳内プロセスを意識的、あるいは無意識的に理解していることによるのではないかと思います。
100日しかないから目標達成が難しくなるのではなく、100日以上の期間を設定しても非効率的であるから、100日でデザインするのです。