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生き方

「デマを信じ込んでしまった人」が聞く耳を持たなくなる“本能的な理由”

石川幹人(明治大学教授)

2020年07月30日 公開 2022年03月07日 更新

 

自分の信念を疑う気味の悪さを乗り越える

本能の強さに対して理性が弱い人は概して、デマや噂話を頭から信じてしまい、訂正が利かなくなります。食品会社が「それはデマです」と情報発信をしても「食品会社は会社の利益を守ろうとして真実を隠している」と自分の信念を正当化でき、とことん信じ込むことができます。

宗教的な信念もそうですが、深く信じた信念状態を脱するのはとても大変です。自分の支えを失うような感覚が生じるので、心理的な抵抗感も強いからです。信念に反するどんな証拠や事実がつきつけられても、信念を守るために排除します。

その排除の最強手段は「陰謀論」です。自分の信念は正しいのに、それを破壊しようと皆がグルになって攻めてくる、証拠や事実はどれもその目的のために(ときには、政府や秘密結社の陰謀によって)されているのだと思い込むのです。

このような状況に至れば、説得はあきらめざるをえません。信じ込むことは心地よく、疑うことは気味が悪い。それが、協力集団向けに進化した特性です。情報社会に生きる私たちは自ら、その気味の悪さを乗り越えて、理性を駆使しなければならないのです。

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