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「後悔すればするほど不幸になる」驚きの理由



2020年07月25日 公開

石川幹人(明治大学教授)

後悔をすればするほど不幸になる(石川幹人)

誰かに嫉妬してしまう、何にも情熱が湧かない、すぐに後悔してしまう……よくある悩みは、実はその人が悪い訳ではありません。

私たちが生き残りやすいように、先史時代から受け継いだ遺伝子に問題があったのです。本来は人類の生存に有利な反応だったのですが、現代では高度に社会が発達し遺伝情報がそのまま適応できない状況なのです。

『その悩み「9割が勘違い」 科学的に不安は消せる』(KADOKAWA)の著者であり、進化心理学の第一人者である石川幹人氏が、人間に共通した人間の進化の歴史から現代人が抱える悩みを読み解きます。

 

なぜ人は後悔するのか

【お悩み】何に対してもすぐ後悔してしまいます。

【答え】後悔は先史時代では幸福に近づくための有効な手段でしたが、現代では不幸になる一因になっています

後悔の機能がどのような経緯で備わったかを考えてみましょう。進化の原理からすれば、後悔する人がしない人に比べて生き残りやすかったから身についたはずです。

行動の選択肢が複数あり、その中からベストと思った選択をしたけれども、行動の結果は思ったほどではなかった。後悔する人は、それを反省して「次回の選択ではベストを選ぶぞ」という行動改善をして、実際に次回は利益が向上したので、人間に後悔する一連の心の動きができたのです。

このように、後悔に効果が出る仕組みを考えてみると、少し複雑です。にもかかわらず、私たちに直感的に備わっている「後悔」する心の仕組みは「行動の結果は思ったほどではないので残念だ、改善せよ」と単純化して働きます。

「思ったほどではない」のは想像が間違っていたのですが、「他の選択肢のほうがよさそうだ」と考え直すのも同じ想像です。そちらも間違っている可能性が大いにあります。

それに、「次回はしっかり選択するぞ」と決意しても、次回はまた事情が変わっていて、ベストの選択は前回と異なっているかもしれません。

 

現代で「正しい選択」をすることは、もはや不可能

こう考えると、ベストの選択がいかに大変かが理解できます。それでも後悔する心の仕組みが進化しているのは、狩猟採集時代の生活環境が単純だったために、後悔に一定の効果があり続けたからです。

私たちは狩猟採集時代の生活環境の遺伝情報を多数引き継いでいるのですが、その環境では、

(1)選択肢の数が限られている
(2)選択後の未来が想像しやすい
(3)同じ選択状況が繰り返されている

といった、反省が容易な条件がすべて整っていたのです。

本来、直感的な心の働きは、効果がある状況でのみ発動すべきですが、(1)〜(3)の条件が整っていない状況が狩猟採集時代に少なかったので、後悔する心の動きはそれらの条件を加味せずに発動してしまうのです。

生活形態が複雑になった現代社会は、

(1)選択肢が多い
(2)選択後の未来も不確定
(3)同じ選択状況は二度と来ない

といった、狩猟採集時代とは違った特徴があります。後悔しても未来はよくならず、無意識の心の動きが発動する意義がない事態が増えているのです。

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後悔にネガティブな感情が伴うわけ >



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