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「後悔すればするほど不幸になる」驚きの理由

2020年07月25日 公開

石川幹人(明治大学教授)

 

後悔にネガティブな感情が伴うわけ

さて、よく考えると、後悔にネガティブな感情が伴うのは不思議です。次回の選択肢を考え直して今よりもっと利益が上がりそうならば、「将来に期待が持ててうれしい」というポジティブな感情になっていてもよいはずです。

後悔がネガティブである原因は、私たちの「損失を警戒する傾向」に関連しているようです。例えば、1000円をもらって喜んでいるときにその千円札を落としてしまうとショックは大きいです。もらう前に戻っただけなのですが、1000円をなくしたという損失が過大視されるのです。

これは、生活がある程度成り立っている場合、そこからプラスになることを求めるより、マイナスになることを警戒したほうが生き残りやすいという、生物進化上の事情に起因します。生活が安定すると保守的になるのです。

つまり、誤った選択肢を選んでしまい、期待した利益が得られなかったとき、私たちは「損失」と感じてネガティブになるのです。さらに、その期待した利益が別の人に行っていれば、嫉妬も感じ、より一層ネガティブになります。

次回があれば、よりよい選択をするチャンスがあるわけですから、「今度は期待が持てるぞ」と将来を想像して、うれしい気持ちになりましょう。決して「前回、自分は間違った選択をした」と過去を想像してはいけません。それをすると、「損失」と感じてネガティブになってしまいます。

 

後悔しない方法はあるのか?

ここまでは、後悔をしてしまったあとの対策を述べましたが、以降では、選択肢を選ぶ前の「将来にわたって後悔しない選択」について考えていきます。事前にベストな選択肢が選べたなら、それに越したことはありません。

現代社会では選択をする機会が増えていますし、選択肢も増えました。例えば、狩猟採集時代の仕事は限られていましたが、現代にはありとあらゆる職種があり、どの仕事も原則、選択自由な社会になっています。

選択肢が増えたのならベストな選択は事実上、不可能ですから、そこそこよければ「いったんは満足する」という目標をまずは設定しましょう。ほとんど不可能なベストを狙うことによる「損失感」を避けるのです。

そして次に、可能な範囲で未来を予測して、選択肢の優劣を検討します。選択肢が非常に多い場合は、全部は検討しきれませんので、最初に選択肢を減らします。仕事を探すときに、業界や業種を絞って考えるのはその例です。

検討を重ねると、選択肢ごとに長所・短所が挙げられます。そこで、検討した長所・短所を表にしてメモし、最後にそれを見ながら総合判断で決めていきます。長所・短所を分析するのは理性ですが、総合的には直感も伴うでしょう。

 

直感的な判断は、現代では不幸を生む

直感だけで判断すると後悔しやすいです。あとから振り返ったときに「なんでこんな判断をしたのだろう」と判断の理由がわからず、残念な気持ちになりやすいからです。

それに対して長所・短所の表が残っていれば、その当時の知識や経験ではベストな判断をしたと一目でわかるため、後悔が少ないのです。また、知識や経験の浅さが反省できれば、次回の選択判断に活かす可能性も広がるというものです。

現代社会は、職業選択の自由をはじめとして、人権が守られた自由な社会です。これまで「自由な社会であればあるほど幸福である」と信じられてきました。

ところが、いざ自由が高まってみると、幸福が頭打ちになっています。私たちの直感的な心の動きは不自由な社会で進化したので、自由を謳歌する認知機能が十分には身についていないのです。

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