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付箋が引き出す「心理学的な効果」とは? 在宅勤務でモチベーションが劇的に上がる方法

塚本亮(ジーエルアカデミア株式会社代表取締役)

2020年09月09日 公開 2024年12月16日 更新

付箋が引き出す「心理学的な効果」とは? 在宅勤務でモチベーションが劇的に上がる方法

コロナが発生し、急に家で仕事するようになって、いまいちやる気が出ない人もいいでしょうか。なかなか周りに人がいない状態で自分を律するのは至難の業。

家にいながらもタスクを一瞬で片づけてしまう。そんなモチベーションが手に入ったら理想です。

そんな人は「付箋」の使い方をちょっと工夫するだけでモチベーションが一気に高まります――『ヤバいモチベーション』(SBクリエイティブ)を上梓した塚本亮氏は言います。

どういうことなのか。ケンブリッジ大学で心理学を学んだ同氏に聞いた。

 

人は目に見えるものに動かされるもの

午前中の達成感を得るためにもぜひやってほしいのが、付箋を使った「TO DO LIST」作りです。

その日1日にやるべき仕事を付箋に書き出し、ノートに貼っていくのですが「やるべき仕事を可視化する」というのが大きなポイントです。なぜなら人は、自分の目に見えるものに誘発されて行動を起こす場合が多いからです。

たとえばバスの中の降車ボタンのように、目の前にボタンがあると人はなぜか押したくなります。あるいはレストランの店頭に、よくできた本物そっくりの食品サンプルが飾られていると、思わず触ってみたくなりませんか。

これはモノが人の行動を誘発するのですが、このモノと人との行為についての関係性について、「アフォーダンス」という概念を確立したのがアメリカの知覚心理学者、ジェームズ・ジェローム・ギブソンです。

ギブソンの構想には、環境やモノには本源的に「意味を内包する情報(アフォーダンス)」をもっており、人はそれを利用して行動している、またモノがもつ「アフォーダンス」が人を無意識の行動に導くといったことが含まれているのですが、ここでとくに注目したいのは目に見えるモノが人の行動に与える影響です。人は知覚できるモノに意味を見いだし、行動するのです。

であるならば、その行動を誘発するようなモノを自ら作ってしまえばいいわけですね。それが付箋を使った「TO DO LIST」なのです。

 

自分は意外にかなりの量の仕事をしている

私の場合は次のような手順でこの「TO DO LIST」を作っています。

【1】できるだけ小さな付箋を用意し、その日やるべき仕事をすべて書き込む。「1枚の付箋に一つの作業」が鉄則

その日にやるべき仕事はとにかくすべて付箋に落とし込みます。「◯◯さんにLINEの返事」「〇〇社宛ての書類をポストに投函」といった細かい作業も余すことなく書き込んでいます。

こうすることでその日の仕事の全体量が具体的に見えてきます。頭の中だけで処理をしているとそれが曖昧になり、「今日手をつけなくても間に合うのでは?」などと先延ばしにしてしまうことも増えますが、目に見えると「あ、こんなにあるならやっておかないと」という気持ちになります。

このときに大事なのは、作業をできるだけ細分化して付箋に書き込むこと。

私の場合なら「原稿を書く」のは大事な仕事の一つですが、本を執筆しているときに、単に「原稿執筆」と付箋に書くのはあまりに大ざっぱ。

たとえば「今日は第1章の前半を書く」と決めたら、そのための「資料探し」「資料調べ」「第1項執筆」「第2項執筆」などとできるだけ作業を小さく分解し、それを書いていきます。

ビジネスパーソンなら「企画書作成」などの仕事があると思いますが、その場合もたとえば「◯◯の資料のデータを探す」「◯◯のリサーチ」「統計資料を作成」「◯◯さんに△△について聞く」などとステップごとに細かく分類していきます。

【2】手をつける順に付箋を並べ替える

作業の洗い出しが済んだら、次はどのような順番で仕事を進めればよいかを考えていきます。

1日を通してもっとも高いパフォーマンスを発揮できるのはどの順番か、もっともスムーズに進められるのはどの順番かなどと考え決めていきます。

【3】終わった仕事の付箋をノートの右側に移動させる

私は毎日、この「TO DO LIST」の付箋をノートの左側に並べ、やり終えた仕事の付箋はどんどんノートの右側に移動させていきます。

これは「TO DO LIST」を活用する上でとても重要な作業です。

というのは、人が行動を起こすときには「自分にはできる」「自分は達成できる」という自己効力感をもてているかどうかが非常に大事。自己効力感があると、人は「もっとやろう」「次もがんばってやってみよう」という気持ちになれます。

この自己効力感の元となるのが「やり終えた仕事」なのです。ところが「やり終えた仕事」をないがしろにしてしまっている人は少なくありません。コーチングを行っている学生や社会人の方に「昨日は何をやりましたか?」と聞いても忘れてしまっている場合が多いのです。本当はいろいろなことをたくさんやっているはずなのに、それを流してしまっているのです。

しかし「やり終えた仕事」というのは、いずれ良い自信となり、モチベーションにもつながる良い材料なので、ぜひ残しておきましょう。

私はこの「TO DO LIST」を大ざっぱに前日の夜のうちに作っておきます。翌朝までにメールが入り翌日の仕事が増える場合もありますので、微調整を当日の朝に行います。

付箋がノートにズラリと並ぶ日もしばしばですが、その見た目は「今日もこんなにやることがあるのか……」とガッカリさせられるよりも、「よし、どんどん進めて付箋を移動させていこう!」と攻めの気分にさせてくれる場合の方が圧倒的に多いのです。

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たった1分の準備が20倍の効率を生む

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