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Go To トラベルは効果があったのか? 星野リゾート代表が語るその実際と決意

星野佳路(星野リゾート代表),吉澤恵理(医療ジャーナリスト)

2020年09月09日 公開 2023年01月11日 更新

 

人口規模が少ない地域でも安定

「マイクロツーリズムのいちばんの特徴は安定していることです。マイクロツーリズムは自宅から1ー2時間圏内の観光を楽しむということで、そのような近場観光はリピートする事のハードルが低い。遠方や海外の同じ場所に年に何度も行くということは現実的ではないですが、近場であればそれが叶います。ですからその人口規模が小さくても安定するマーケットになりうると考えています」

賛否がありながらも始まった「go toキャンペーン」に関して国土交通省は7月27日から8月27日までに利用した宿泊者が少なくとも延べ556万人に上ると発表した。

今回のGo Toトラベルは東京除外であったため、現在までの利用数は地元を中心としたマイクロツーリズムの実態を反映していると捉えることができ、マイクロツーリズムには一定の需要があることが表れている。

「始まったのが7月の下旬でしたが、旅行というものは先々の予約が入ってくるのでその段階で8月の予約は大体埋まっています。なので、8月の予約にGo Toの効果がそれほど反映されていたわけではないですが、実際には9月にはプラスにはなっています。

私共ではGo Toトラベルへは7月下旬から参加しましたので、9月10月の予約に効いてくるのではないかと感じていますし、Go To トラベルキャンペーンはコロナ禍が長引く中で、観光産業を下支えする取り組みとして期待しています」

秋の足音が聞こえ初めこれからが旅行シーズン到来となる。

「観光産業としては紅葉の時期は大きな観光シーズンです。せっかく第二波が少し収束し始めましたのでこのまま収束期のまま行ってもらいたいというのが私の願いです。

問題は第三波がいつくるかということです。その時のために備えるのが観光産業にとってとっても大事です。第一波、第二波で学んだことたくさんありますけど第三波で売り上げ90%減にならないためにも今我々観光産業はマイクロツーリズム市場、リピート市場をしっかりと準備をしておくことが重要と思います」

長期化するwithコロナ社会の癒しとしてマイクロツーリズム市場は伸びていくだろう。

 

社員を笑顔にするためには、経営者はどんな時でも明るく楽観的に

星野氏が星野温泉の四代目となってから様々な試練があったという。リゾートや温泉旅館の再生事業が軌道に乗り、マスターブランド戦略を開始した直後、東日本大震災が起き大きな打撃となった。それでも星野氏が貫いたスピリットがある。

「私は大変な時こそ経営者の楽観性を社員は見ていると思います。そして経営者が楽観的でいることが社員にとって大丈夫だという自信につながっていくと思います。

逆に経営者が悲観的になって顔が暗くなっていくと社員がそれを見ていて全体が落ち込んできます。ですから、私は明るく楽観的な見通しを持ち続けるという意識は大事だと思っています」

コロナ禍の日本に必要なのはある種、楽観性かもしれない。それはコロナをただの風邪と軽く考えることではなく、ウイルスの感染拡大を阻止するための正しい対策を行い、その一方で『必ずコロナは収束する』と希望を持ち、アフターコロナに必要な準備をするということだ。

「もしこのコロナ期を乗り越えることができれば、確実に組織の大きな自信につながります。10年前のあのコロナ期みんなで乗り越えたという経験が、そのチームの勲章になります。

楽観的に明るくこの時期を乗り越えたチームの人たちが結束力を高められるような、そんな機会にして欲しいなと思っています」

【吉澤恵理(よしざわ・えり/薬剤師、医療ジャーナリスト】
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科薬科大学)。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

 

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