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「なんでも先送り」が治らない人の根本的な“勘違い”

佐々木正悟(作家/心理学ジャーナリスト),大橋悦夫(実業家)

2021年01月05日 公開 2022年12月21日 更新

佐々木正悟

日頃から繰り返していることを優先してしまう

何事につけてもこの「8:37」を把握するようにしていけば、時間に余裕を持つことができるようになっていきます。逆に言えば、「時間がない!」と頻繁に言う人には、この「8:37」を把握できていないことが多いのです。

気がつくと出発しなければいけない時刻に遅れていたり、飛行機に乗り遅れそうになる人たちには、ほかにも共通する原因があります。何の気になしに「ふだんから繰り返している行動」を優先的に行ってしまうことです。

たとえば、本当にフライトまでの時間がないなら、歯を磨いている場合ではありません。それどころか、食事や洗顔だって、省略するべきです。そのくらい切迫することだって、一生に一度くらいはあるでしょう。

ところが、人というのは案外と「何を悠長な!」と思われてしまう行動をとってしまうものです。身内の話ですが、私の父はどうも、たとえ時間がなくても、出かける前になるとヒゲをそり出すクセがあります。

本人の中では十分に時間があるつもりなのかもしれませんが、周囲からすると不信感を強めたくなる悪癖です。「このタイミングでひげそりか!」と母が騒いでいるのを何度も聞きました。にもかかわらず、父の悪習が改められることはなかったのです。

なぜ、そのようなことが起きるかと言えば、「繰り返していることは、やりやすい」からです。

優先順位を無視してついやってしまうことはたいてい、日頃から繰り返している行動です。それを1日の中ではなく、1ヶ月、半年といった長期計画の中でもやってしまう人は少なくありません。

たとえば会社に着くなり、かかえている企画の達成率とはなんの関係もなく、メールチェックを、それも長時間かけてやっていませんか? なぜなら、メールチェックは通常繰り返す業務なので、取り組みやすいからです。

「朝起きると時計も見ずに、携帯のメッセージをチェックする」という人も増えているようですが、これもよく似た問題を引き起こしています。メッセージのチェックなど、移動時間、スキマ時間にいくらでもできるのですから、起床後の貴重な時間を、たとえ数分でも失う必要はないはずです。

繰り返しやっていることを、優先順位も考えないまま取り組んでしまうのをまず、ガマンしてみることです。それだけでも時間の使い方がうまくなることがよくあります。

それでも、ついついやってしまう人は後を絶ちません。そういうことをやっていると、出発時刻が迫っているのにのんびりと食事をして、飛行機を乗りすごすような結果になりかねません。

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「とりあえず片づくこと」からやってしまう愚

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