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NHKの報道記者は、いかにして「捜査の秘密」を聞き出すのか?



2021年01月26日 公開

鎌田靖(ジャーナリスト)

 

相手を正面に見ながら一気に尋ねた

そこで、「今日は一対一でどうしても確認したいことがあります。こんな直接的な聞き方で申し訳ないのですが、明日検察首脳会議、そしてそのあと本人を逮捕だと見ています。それでいいですね」。

緊張はしましたが、ここが勝負だと思ったので、策を弄すような質問はせず、相手の目を正面に見ながら尋ねました。

すると、相手は、「おぉ、そうだよ。その通り。会議は明日の午後一時から、そのあと着手」。こちらが拍子抜けするくらいすらすらと答えてくれました。

この幹部には何年も取材していましたが、口は堅くてこれまで一度もそんな言い方をしたことはありませんでした。

一方私のほうは、どちらかというとしつこく聞くタイプではありません。ただこのとき、私は、必死だったことは覚えています。久しぶりの政治家逮捕、その情報をいち早くつかみたい。いつもと違う「真剣さ」あるいは「気迫」があったのかもしれません。

一度帰った後、引き返した「熱心さ」もありました。それが相手に通じたのかもしれません。なぜあのとき、私に教えてくれたのか。その幹部は退官し、その後、亡くなってしまい理由は聞けずじまいでした。

ただ今でも思い出すのは、おそらくこわばって怖そうな表情をしていた私を見つめていた幹部がふっと微笑んだ表情です。私の思いが伝わったということなんでしょう。

ここで一つ言っておかなければならないことがあります。

検察を取材していたときのエピソードをいくつか紹介しました。相手から話を聞き出すための一般的なノウハウとして参考になるのではないかと思ったからです。

ただこうした取材手法については今批判されています。東京高検の検事長と取材記者が賭けマージャンをやっていたことが判明し大きな問題になりました。「権力を持っている側と癒着しているのではないか」という批判です。

政治家も含めて権力者を取材する際は常に緊張関係を持たなければならないというのが取材の鉄則です。権力をチェックするのが報道の役割。ときには相手を批判することもあります。

一方で相手から情報も入手しなければならない。難しいバランスを取りながらの日々だったということは皆さんにお伝えしておきます。検察と記者の関係はどうあるべきかについては別の機会に譲ります。

 



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