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料理研究家・ジョーさん。が力説「ブラック企業を辞めて料理を始めた本当の理由」

ジョーさん。(料理研究家)

2021年03月16日 公開 2022年10月12日 更新

料理

母親にラクをさせてあげたい

じつは私が「ラクに作れておいしい」レシピを開発するに至ったのには、もう一つきっかけがあります。

母の存在です。幼少期に母が毎日おいしい料理を作ってくれたのですが、いつも台所でせわしなくしている。母と一緒に食卓を囲んだ思い出はほとんどありませんでした。

先にごはんを済ませてお風呂から出ると、母が一人テーブルで食事をしていて、その姿がとても寂しそうに見えたのです。

「家族そろって、ゆっくり食事をしたい」

私が考案する「時短料理」には、そんな小さいころの「原体験」が関係しているのかもしれません。

私の目標は、包丁を握ったこともない料理初心者の方をはじめ、何らかの理由で料理が嫌になってしまった方に「これならできそう!」と思ってもらい、もう一度、台所に立ってもらうこと。そして、料理をする方には、もっと料理を面白く感じてもらうことです。

だからでしょうか。私が考案するレシピには、ごはんといかそうめんを混ぜ合わせて炊き込みご飯にしたり、牛肉をビールで煮込んだりと、少し変わったものが多いです。

料理の常識・概念を“壊している”という見方をされる方もいるでしょう。後ろめたさみたいな感情もありますが、すべての料理と調理人に対するリスペクトの精神はもちろん忘れていません。

そのうえで、少しずつアップデートを楽しめるのも、料理の魅力の一つだと思っています。

サバ缶をサンドイッチにしたり、電子レンジでリゾットを作ったり、ゆで卵をめんつゆに浸すなんて、20年くらい前までは一般的ではなかったはず。それが、いまでは家庭料理の定番として認められています。

料理に正解、不正解はありません。

「レシピ通りに作らないと」「絶対に失敗したくない」と心配になる気持ちはわかりますが、どちらかというと、料理の味よりもその過程を楽しむエンターテインメントのように捉えてみてはいかがでしょうか。

料理の魅力はまだあります。

とっておきの趣味になるのはもちろん、料理を通して仕事や生活に役立つ力がたくさん身につきます。定年後には「人生の生きがい」になるかもしれないし、在宅勤務の多いビジネスパーソンにとっては「日常のささやかな楽しみ」にもなるでしょう。

「今日は包丁を握るか」とまでいかなくても、「電子レンジを使って3分だけ料理をしてみよう」という軽い気持ちでまずは一度台所になってほしいです。

これからも、料理のハードルが少し下がり「明日は何を作ろうか」とワクワクしてもらえるような時短レシピをどんどん作り続けていきます。

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