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“離職率28%の超ブラック企業”が背負った「十字架」

2019年11月11日 公開

山田理(サイボウズ株式会社取締役副社長 兼 サイボウズUS社長)

山田理

グループウェアの提供を通して企業の「働き方改革」推進を後押しするIT企業サイボウズ。「在宅勤務」「育児休暇」「副業」など、現在の時流に求められる企業のあり方を最前線で体現しており、同社から発信される情報に、各企業で変革を志す人々に強く支持されている。

しかしながら、同社副社長の山田理氏によると、もともとサイボウズは成果主義を標榜する典型的なブラック企業であり、2005年には離職率が28%にも到達するなど、危機的な状況にあり、変革に迫られたところからスタートしたという。

本稿は、山田理氏の著書『最軽量のマネジメント』より、サイボウズが「ブラック企業化」した要因となった独立採算制による成果主義の弊害と、“第二の創業”を目指すことになった転機を記した一節を紹介する。

※本稿は山田理著『最軽量のマネジメント』(ライツ社刊)より一部抜粋・編集したものです

 

独立採算制で社員同士を競わせた結果、生まれたのは「ギスギス感」と膨大な無駄だけだった

当時、サイボウズの組織は事業ごとに部署を立ち上げ、独立採算制をとっていました。

稼ぎ頭は中小企業を対象としたグループウェアの「サイボウズ Office」。
特に施策をしなくても媒体に取り上げられ、売上は大幅に伸長を続けていました。当然、Office事業部に所属するメンバーには多額のボーナスが与えられました。

一方、立ち上げたばかりの新規事業、大企業向けグループウェア「サイボウズ ガルーン」を担当する事業部は、予算未達成で売上もシビアな状況。ボーナスなんてとんでもない話です。所属しているメンバーは全員、ボーナス0円でした。

すると、不満の声が上がります。

「Officeが売れるのは当然じゃないですか。こっちは新規事業でリスク取って必死に仕事しているのに、全然評価してもらえないんですか?」
「ここにいる限り損するだけです。Officeに転籍させてもらえませんか?」
「あいつら、なんで大した苦労もしてないのにボーナスもらってんねん」
「おれらはこれだけ必死で新規事業立ち上げているのに」

……会社はますますギスギスしていきました。

そもそも、なぜ事業部制にしたのかというと、社内の競争意識を煽ることで事業成長にドライブをかけていこう、と考えたからです。

開発部、マーケティング部、営業部と職能によって組織編成すると、それぞれの目的がズレてしまう。

だから、事業ごとに職能の異なるメンバーがチームとして集まり、ひとつの事業という同じゴールに向かって切磋琢磨してくれれば、各事業部が競い合うように成長していけるはずだ、と。

しかし、サイボウズの中でも大きな2チームのいがみ合いは、会社全体にすこしずつ悪影響を及ぼしはじめました。

Office事業部のほうも、「自分たちでうまくいっている施策を教えてあげよう」とはなりません。

事業部制ですし、相対評価ですから、自分たちさえ、というか、自分さえうまくいっていれば、給与は上がるしボーナスももらえる。逆に、他人に協力しようものなら、自分の評価が相対的に悪くなる可能性があるだけで、何の得にもならないのですから。

こうして、本来横展開できるはずのコンテンツやノウハウをシェアすることができず、どんどん無駄が増えていきました。

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