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「閉鎖的な宗教コミュニティから抜けた体験」を本に書いた女性に起こったこと



2021年04月08日 公開

デボラ・フェルドマン(訳:中谷友紀子)

 

苦しみの中から“変化”が生まれる

――好奇心旺盛がゆえに「自分だけがどうして従順になれないのだろう」と葛藤される場面がありますが、好奇心についてどう思いますか?

たしか仏教にこういう言葉があります。「suffering is change(苦しみの中から変化が生まれる)」

わたしはこの言葉が大好きです。なぜならば、わたしたちが人生における苦しみの経験は、「変化の動き」――自分を変え、環境を変えるということにつながると思うからです。

わたしたちは変化を強制されること、特に外の世界から引き金を引かれることを嫌います。でもわたしたちが苦しい思いをするのは、それまでに変化を選んでこなかったからなんです。

ですから、わたしのセオリーは、変化を選ばせる好奇心によって、わたしたちは変化するということです。もちろん変化は苦しいものですが、その変化が自分の意志で自身の手の中にあるならば、きっとあなたを幸せに導いてくれます。

「服従」は苦しみから守ってくれるかもしれませんが、幸せに導いてはくれません。わたしは「苦しみがないこと」は「幸せ」だとは思いません。「苦しみ」は「幸せ」を獲得するためには不可欠だと思います。

わたし自身、あらゆる変化が自分の人生に影響を与えてきたし、私の望む場所にたどり着きました。それゆえ、わたしが常に感じている感謝や喜びの気持ちは、何者にも奪うことができません。ですからはっきり言うことができます。

「好奇心は幸せを育て、不幸せは好奇心を育てる」と。

 

コミュニティを脱し、苦労つづきの10年

――脱出して10年はどんな日々でしたか?

とても、とても苦労しました。変化するには平均的に10年くらいかかると思っていましたが、変化することは本当に大変で、内面的にも外面的にも多くの資源、多くの戦略、多くの幸運が必要なんです。

もし、コミュニティを去ることを考えている人々にアドバイスを求められたとき、彼らと話すことは非常に怖い。怖気づかせてしまいそうで。

この困難はとても複雑で端的に答えることは難しいですが、お話ししてみましょう。

最初の困難は、もちろん現実的なことでした。貧乏で、教育もなく、コネクションもなく、支援もありませんでした。

第二の困難は、社会的な面です。社会的なルールが理解できませんでした。コミュニケーションの取り方や友だちの作り方がわかりません。

だんだん気づいたんです。そのためには、見るべき映画、読むべき本、知るべき人がいることを。他人と共通するものを何も持っていないんですから、とても孤独でした。

さらに、コミュニティが常に足を引っ張ってきました。「絶対に成功できない。あなたは外の世界に属することなんてできないし、絶対に幸せにならない。死んでしまえ」と手紙がくるんです。

この程度はまだマシなほうです。なぜ彼らがそんなことをするのかというと、わたしたちが失敗すれば、コミュニティに疑いをもつ子どもたちに示すことができるからです。

「出ていったら、こういうことが起こるんだよ」と。

 

デボラの"幸せ"の理由

――とても困難な10年を乗りこえたデボラさんにとっての"幸せ"とは?

私を救ってくれたのは本を出版できたことではありません。本が救ってくれたのは、大衆からの注目を集めたことで、子どもの養育権を守ることができたことです。

でもわたしの非常に傷つきやすい感情面を救ってはくれませんでした。アメリカで本が出版されたとき、わたしは25歳で、外の世界に出てまだ3年目でした。

非常に弱々しいまま、突然、人前にさらされたのです。当時それはとてもつらいことでしたが、もし本が成功しなければさらなる困難に陥ったと思うし、一定の目標に到達するには本が必要なことだったと思います。

わたしがいま幸せなのは、端的に、自分がどのような人間になりたいか、どんな人生を生きたいかが、はっきり思い描けているからだし、そう生きるための決定を下すことができるからです。

シンプルなことのようですが、そうしたシンプルなことを以前の自分には想像もできませんでした。ひとつひとつの決定を「自分のため」に下し、自分がどんな人間で、何を望むかなんて、思い描く機会を持ったことはなかったですから。

 



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