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「感覚的な指導」に効果はある? 元侍ジャパン監督が指摘する“ダメな教え方”4選

2021年06月03日 公開

仁志敏久(横浜DeNAベイスターズファーム監督)

 

"感覚を教える"と"感覚で教える"

言葉としては似ていても、内容はまったく違う。指導者が感覚を丁寧に伝えることは、選手にとって技術や考え方のヒントになることがあります。しかし、指導者がなんとなく感じたことを表面的に教えられても、これというポイントがないために話としては的を射ないケースがほとんどです。

指導において、丁寧であるということは不可欠。自分が言っていることは、丁寧で親切かどうか、想像力を働かせて指導にあたらないといけません。

 

教える前に自分がやる

スポーツを指導するうえで、自身の経験は何より信頼できるもの。経験した感覚には確かな実感があるからです。ただ、それは万人に当てはまるとは限りません。

個人の感覚はあくまでもその人の体格、体力、経験に基づくもの。一つの方法に固執して指導すると、選手の伸びしろを無駄にし、選手を路頭に迷わせる危険性もあります。

また、指導者としての経験が浅い場合、指導書やインターネットを通じて技術論を知ることが多いかと思います。自分にないものを学ぶ姿勢はよいことです。

とはいえ、「指導書にこう書いてあったからやってみろ」とか、「ネットでプロ選手がこんなこと言ってたから同じようにやってみろ」といった指導はちょっと乱暴です。

大きな間違いが技術論として世に出ることはまれではありますが、人に伝えるからには指導する本人が「体感」していないと話になりません。

学問のように文献や論文から知識を得るのとは違い、動作にまつわることは「伝える人なりの実感」が必要です。学んだ技術を指導者が実際にやってみて、上手くいかないことや、できているように感じても実際には形になっていないこともあるでしょう。

でも、それでもいいのです。

「やってみたけど俺には上手くいかない部分があった」「プロが言うほどすぐにはできない」といった感想でもいい。そもそもそんな簡単に誰もがすぐに結果を出せるものではありません。まして普段さほど運動をしていない人が真似してみてすぐにできるということはまずないでしょう。

ここでまた間違いが起こりやすいのが、「俺がやってみてできなかったから、お前もやらなくていいよ」という考え方。

一つの理論を万人がこなせるとは限らないことの裏返しで、指導者ができなかったから選手もできないとは限りません。ぴたりと当てはまるかもしれないし、上手くいかないかもしれない。やってみて上手くいけば取り入れればいいし、上手くできなければやめればいい。

人が言う技術というのは数多くあるうちの一つのモデルと考えるべきであって、誰にでもできるとは限らないし、できないとも限らない。ただ、それで成功している人がいるのならばやってみる価値はあるということ。

それを指導者ができるかどうかは、どうでもいい。肝心なのは、やらせるのであれば「やってみた感想」くらいは言えなくてはいけないということです。

指導者にとって技術の探求はつねに求められることですが、見た、聞いた、で終わってしまっては学んだことが身についたことにはならない。伝える前にまずは自分がやってみる。

できた、できないが問題なのではなく、「学ぶインプット」と「体験して思う、感じるアウトプット」によって初めて知識を得たことになります。

職場や子育てなどで、ぜひ意識してみてください。

 

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