承認欲求? 依存?「さみしさを埋める」ためにやりがちな4つのこと
2021年07月12日 公開 2024年12月16日 更新
誰でも、孤独感や疎外感を抱くことはあります。そんなときはどうするのがいいのでしょうか。さみしい気持ちと上手につきあう方法を知っておきましょう。
※本稿は『PHPスペシャル』(2020年12月号)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
孤独には3つの種類があります
今、私たちは、誰とも直接顔を合わせなくても生活することはできます。在宅勤務で何日間も人と話をしなくても仕事はできますし、インターネットでゲームを楽しんだり買い物をしたり、サブスクリプションで映画を観ることも一般的になりました。
孤独には、ポジティブな孤独からネガティブな孤独までのグラデーションがあります。
ポジティブな孤独は、自分との対話を生み、内省を促し、いつもは周りからの同調圧力で心の底にしまい込んでいる本当の自分に気づかせてくれます。
一方、ネガティブな孤独の背後には、3つの不安が隠れています。「拒絶される不安」「脱落する不安」「喪失する不安」です。
拒絶される不安とは、人間関係を上手に作れなかったり、仲間外れにされたりすることへの不安です。拒絶された人は、他者からネガティブな評価をされていると考えて傷つきます。これから新しい世界に出ていく若い世代が感じることの多い不安です。
脱落する不安は、世の中から落ちこぼれる不安です。学生時代までは勉強でも遊びでも同世代の人と横並びでいられますが、社会に出ると自分の進む道は自分で選び、その道を歩む途上には競争が待ち受けています。
喪失する不安は、それまで当たり前にあったものや積み重ねてきたものを、否応なく手放すことで生じる不安です。
定年によって仕事を失うこと、長く追い続けていた夢をあきらめざるを得ないとき、健康や若さ、配偶者、人間関係のネットワーク、女性としての役割、親としての役割などを失う際などに感じる不安です。
さらにこれらの不安の背後には、他者から理解してもらえないこと、承認を得られないことを恐れる気持ちが潜んでいます。他者からの承認がないと、多くの人は自己評価が低下するのです。
自分では孤独だと思っていなくても、思わぬところに孤独が隠れていることがあります。前向きに努力している人に対してつい否定的な評価をしてしまったり、ふと気づいたら夜中に冷蔵庫を開けて食べてしまったり、などの行為の背後に。
けれど、孤独とは自由であるということでもあります。あなたがあなたの人生を生きるためのヒントがそこにはあるのです。「さみしさ」をてなずけるための処方箋をご紹介します。
さみしくても、しないほうがいい「4つのこと」
さみしさをまぎらわせようとして、ついやりがちなことがあります。でも、実は逆効果になってしまうことも……。避けるほうがいい例を4つご紹介します。
(1)「どうして私は孤独なんだろう」と考える
これは、考えているのではなく、悩んでいるだけです。センター試験の1日目が終わったときに「どうしてあんな失敗をしたんだろう」といくら考えても、2日目の点数は1点も増えません。
必要なのは2日目の勉強をすることですよね。答えの出る具体的な問題を設定して、その解決策を実行することが大切です。
友達ができないのであれば、その理由を考えるのではなく、「友達を作るためにはどうすればいいか」を考えて、行動しましょう。
(2)無理に好かれようとする
集団から拒絶されないよう、常にその場の空気を読んで、みんなから好かれるように振舞うことってありますよね。そうすればたしかに敵は作らないかもしれませんが、自分が消えてなくなってしまいます。
無理に好かれようとしないほうがいいです。他人から承認されることだけが自己評価を高めるのではありません。まずは自分自身の中に評価する軸を持つことが大切です。
(3)恋愛に依存する
交際相手と別れると、「誰でもいいからそばにいてほしい」と思う人がいます。ですが、さみしさを埋めるために知り合った相手とはうまくいかないことが多いです。さみしさによって認知が歪み、判断基準が甘くなるからです。
その場合、相手と対等な関係が結べなくなって、「都合のいい女(男)」にされてしまうこともあるので、注意が必要です。さみしいときには、さみしさを噛みしめる時期があってもいいじゃないですか。
(4) 心の傷を小さくしようと最悪な結果を予測する
「私は失敗する」と予測すると、実際に失敗する確率が高くなるという研究があります。パーティーに参加するときに、「私のことなんか誰も相手にしてくれない」と思って行くと、実際にそうなってしまう確率が上がるんです。
それよりも、「きっと素敵な人に巡り合える」と思ってウキウキして出かけましょう。薬だって「よく効く」と思って飲んだほうが、「どうせ効かない」と思って飲むよりも効きますからね。