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ブーム加熱も…個人投資家は「なんちゃってESG投資」にご用心!

北村慶(証券アナリスト)

2021年09月01日 公開 2022年05月25日 更新

 

上辺だけの「グリーン・ウォッシュ」

筆者が個人投資家の皆さんにESG投資をお勧めしない3つ目の理由は、現在もてはやされている「ESG銘柄」やESGを謳う投資信託には、一部胡散臭い側面があるためです。

たとえば、ESG投資の代表銘柄としてあげられるEV(電気自動車)のテスラ株は、ESG投資ブームに乗って、2020年から21年にかけて1年あまりで10倍以上に急騰しました。

ESGのE(環境)の観点からテスラを好む投資家がいることが背景にありますが、そもそも電気自動車は本当に地球にやさしいのか、という疑問も呈されています。

クルマの環境負荷を考える上では、ウェル・トゥ・ホイール(油井から車輪まで)や、ライフ・サイクル・アセスメント(資源採取からリサイクルまで)を含めて判断する必要があります。

EVに欠かせないバッテリーは製造の際に大量のCO2を排出しますが、これらを含めたうえでもEVの環境負荷がガソリン車より少ないのか、という点については、さまざまに議論があるところです。

また「グリーン・ウォッシュ」にも要注意です。これは環境配慮やエコなイメージの「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語で、企業が環境対応を大げさにアピールした結果、NGOなどから「グリーン・ウォッシュ」だと批判される例がこのところ海外などで目立ってきています。

 

インデックス投資が合理的選択

このように、ESG投資においては、「環境にやさしい」とか「社会の役にたつ」という聞こえの良い言葉に惑わされないことが重要ですが、専門知識のない個人が正しい判断を行うことは困難です。

この意味からも、私たち普通の市民は、ESG投資の深みに入らず、TOPIXやS&P500(米国の有力500社からなる株式指数)などの市場平均に連動した運用を行うことが、現時点では合理的な投資行動だと筆者は考えています。

 

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