「まあいいわ、自分で考えなさい」
「茂久、あれはお父さんの言うことのほうが正しいと思うよ」
「母さん、どっちの味方だよ」
「まあいいわ、自分で考えなさい。ここはあんた自身で気づかなきゃ前に進めないだろうから。じゃあ寝るね」
こういうとき、母は意外とスパッと切り離す。
悩みに悩んだ結果、勉強させてもらったたこ焼きで商売をはじめようと決めた。
「銀だこ」の経験があった僕は、たこ焼き屋のビジネスノウハウをすべてわかったつもりになっていた。しかし実際には、お客さまが喜ぶものに焦点を合わせることを無視していたことに気がついたのだ。
自分の勘違いに気づかされ、僕はこのとき初めて、「我を抜く」ということをちょっとだけ勉強させてもらった。