コロナで募るお金の不安...いざというときは「公的医療保険」が頼れるワケ
2021年11月15日 公開 2024年01月16日 更新
コロナ禍で家計に不安を感じ、保険の保障内容を手厚くする人がいます。また高金利の金融商品をすすめられることも。
しかし公的な社会保険からも手厚い保障があります。本当に必要な商品か見極めましょう。
※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2021年11月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。
不安なときこそ、保険よりも「現金」が味方に!
コロナ禍で生活や家計に不安を感じる人が増えています。病気になったら、収入が途絶えたら……といった思いから、民間の医療保険に新たに加入したり、働けない状態になったときの収入減を補う就業不能保険に加入したりする人も多いようです。
確かに、将来の生活が不安になる気持ちはわかりますが、まずは公的な社会保険制度でどこまでの保障があるかを確認しておきましょう。
いざというときに安心「高額療養費制度」とは
医療保険には「高額療養費制度」があります。所得に応じて、1カ月の医療費の最大自己負担額が決められています。
例えば、世帯ごとの1カ月あたりの医療費負担上限額は、69歳以下の住民税課税世帯で年収約370万円まででは5万7600円。年収約370万円から約770万円で8万数千円程度。
入院すれば、他に食事代や差額ベッド代などが必要になりますが、医療費の上限額が決まっているので、過度に民間の医療保険に頼る必要はありません。
会社員や公務員が病気などで働けなくなり、給料がもらえない場合には加入している健康保険から「傷病手当金」が支給されます。病気やケガで仕事ができなくなった日の4日目から1年6カ月の間、基本の給与の3分の2が支給されます(受給要件あり)。
がんの治療や精神障害の理由で受給している人が多く、1年半受給できるので、いざという時にはとても安心できる制度です。
保険会社などは、不安をあおって保険商品を売ろうとする場合もあります。本当に必要な保障内容かどうかを確認するようにしましょう。また、老後不安をあおって、複雑な金融商品を販売している会社も見受けられます。
例えば「仕組債」と呼ばれる商品があります。特別な仕組みをもつ債券で高い利回りを期待できると説明されていますが、その仕組みはとても複雑。説明をうけても理解することが難しく、リスクが高い商品です。
不安感にあおられて、過剰に保険に加入したり、仕組みのわからない金融商品を購入したりすることのないようにしましょう。
このコロナ禍でわかったことは、「現金」の大切さです。すぐに使える現金や預貯金があれば、いざという時にも対応ができ、生活が安定します。まずは預貯金重視で、安心な家計設計を目指しましょう。
ざっくりわかる「高額療養費制度」
病気やケガなどで高額の医療費がかかった場合、一定額以下に自己負担を抑えてくれるのが、高額療養費制度です。世帯の所得に応じて、負担上限額は変わります。
【69歳以下の場合】例えばひと月100万円の医療費がかかっても…。
・世帯年収が約370万円まで→負担額は5万7,600円
・世帯年収が約370万円から約770万円まで→負担額は8万数千円程度