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「親が認知症に...」慌てる前に知っておくべき"お金の話"

福一由紀 (ファイナンシャルプランナー)

2021年07月29日 公開 2024年12月16日 更新

「親が認知症に...」慌てる前に知っておくべき"お金の話"

65歳以上の6人に1人が認知症といわれる時代。

もしも自分の親が認知症になったら、親族でも本人に代わってお金の手続きができなくなるため、注意が必要です。

結婚後にファイナンシャルプランナーの資格を取得し、情報誌等への執筆や講演等で活躍する福一由紀氏が、生活に密着したお金にまつわる情報をわかりやすく解説します。

※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2021年8月号(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

親が認知症になったら、お金の管理はどうなる?

65歳以上の6人に1人が認知症といわれる時代になりました。認知症になると、お金の手続きについて、親族でも本人に代わってできないことが多々あります。早めに対策を講じていないと大変なことになるかもしれません。

もしも自分の親が認知症になったら、下記のようなお金の手続きができなくなるため、注意が必要です。

・窓口での預貯金の引き出し
・金融資産の売却
・マイホームなどの不動産売買
・相続手続き など

 

認知症が金銭トラブルの引き金になることも…

認知症になる人が身近に増えていませんか?

現在、65歳以上の6人に1人が認知症といわれていますが、2025年には5人に1人に増えると予想されています。決して他人事ではない認知症、発症するとできなくなることがたくさんあります。

たとえば、銀行からまとまったお金を引き出す時、窓口で手続きをしなくてはいけません。その時、本人の意思確認が必要になります。認知症で意思能力が低下していると判断された場合、お金を引き出すことはできません。

本人の財産を保護するのが目的です。家族でさえも預貯金からの出金ができなくなってしまいます。同じように株式などの金融資産の売却もできません。そのため、介護費用を家族が負担しなくてはいけないということになりかねません。

また、不動産の売買もできなくなります。マイホームを売却し、そのお金で有料老人ホームに入ろうと思っていても、認知症になってしまうとマイホームを売却することができなくなります。

契約行為もできません。大家さんとして不動産を賃貸に出している場合、新規契約はもちろん、修繕などの契約もできないことに。

相続手続きもできなくなります。遺言書がない場合は、相続人全員でどのように相続するかを話し合い、遺産分割協議書を作成します。この書類がないと不動産の登記などはできません。

この遺産分割協議書に相続人全員が同意して署名するわけですが、認知症になるとこの行為ができません。また、認知症の方自身が、生前贈与や遺言書の作成をすることもできません。

このように、認知症になってしまうと、できないことがたくさんあります。介護する家族は、必要なことができずに、途方に暮れてしまいます。このような時に、どうしたら良いのでしょうか?

全国銀行協会は、認知症の人の預金を親族が代わりに引き出すことを認める指針を打ち出しています。

医療費や施設入居費などに使うなどの条件はつきますが、親族でも銀行口座からお金を引き出すことができそうです。ただし、銀行によって対応が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

 

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