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「無駄な会議」をやめない上司の言い分

カレー沢薫(漫画家・コラムニスト)

2021年11月25日 公開 2024年12月16日 更新

「無駄な会議」をやめない上司の言い分

仕事に対しやる気があり、人間関係に繊細なのはいいが、それで健康を害してしまっては無意味。時には、仕事に無感情な人間の姿勢を取り入れ、「どうでもいいことでは悩まないようにする」のも大事なのでは? そんなわけで、新刊『反応したら負け』から、「無駄な会議」の過ごし方をお届けしたい。

※本稿は、カレー沢薫著『反応したら負け』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

“無駄な会議”はいまだに存在している

コロナウイルスが出現してよかったと言える点があるとしたら、第一位はぶっちぎりの「義実家に帰省しなくてよくなった」であり、二位はそこから二億馬身差離されているためよく見えないが、おそらく「いらない会議がなくなった」だと思われる。

コロナウイルスの蔓延により「三密」は避けるようにと政府からお達しが出された。すでに「三密」という言葉自体かなり腐りかけていることに驚愕するが「大人数で密室にみだりに集まるんじゃない」ということである。

その結果、今まで開催されていた会議のほとんどがみだりに集まっていたことが判明した次第である。よって多くの会議が中止、または少数精鋭で行われるようになり、日本は近代化の一歩を踏み出すこととなった...のもつかのま、今度はZoomなどの文明の力を用いてみだりに集会を開くようになった...日本の夜明けはまだ遠い。

さらにコロナ禍で会議出席者が減ったと言っても安心できない。参加しない奴は「資料を出せ」と言われる恐れがあるからだ。私は会社員時代、会議に出席しなければいけない立場になったことは一度もないが、「資料作り」にある意味、会議よりも長い時間を費やした。

もちろん、パソコンが使えないエライ人の資料を作るだけなのだが、エライ人の要望はこちらのエクセル技術を凌駕していることが多く、表計算ソフトに数字を手打ちしたり、果ては表の「画像」を貼りつけるよう命じられた。

当然、エライ人に渡す時は「紙」なので、それがどう作られているのかはあまり関係ない。こうやってオフィスに脈々と受け継がれる壊れたエクセルクソデータは誕生するのだ。無駄な会議の過ごし方だが、ネットの調べによると会議中に約40%の人間が「内職」をしているという。

思ったより多い、というか多すぎる。会議室で神妙なツラをしている人間の約半分が他の仕事をしたり、資料の中に淫語がないか探したり、ヘルシェイク矢野のことを考えているということだ。

もしかしたら「別の仕事がはかどる」という意味で、会議は無駄ではないのかもしれない。つまり、会議中は「どれだけ淫語を探さず別の仕事を進めるか」が重要になってくる。

 

なぜ、目的不在の会議が開かれるのか?

「会議を有意義なものにする」という考え方もあるが、これは時と場合による。もし「有意義なものにしたい!」と思っているのが自分一人だったら、それは「会議を無駄に引き延ばす厄介な人」以外の何者でもない。

そういう時は「いかに会議を定刻通りに終わらせるか」を考えた方がいい。もし、皆が有意義にしたいと思っているなら、まず「会議の目的」をはっきりさせるべきだ。

当たり前だと思うかもしれないが、これがないケースが意外と多く、強いて言うなら「この時間に集まるのが目的」という会議が、今も各地で行われている。

また目的が決まったら、それに関係がある人間だけを集めるべきである。関係ない人間を混ぜているだけでも無駄だが、参加している以上、関係ない奴が意見を求められても会議時間は延びるばかりだ。

そもそもなぜ「会議」が頻繁に開かれてしまうのかというと、上司や社長が「状況を一気に把握したいから」だそうだ。つまり、個別で報告を聞くのがダルイから会議という形でいっぺんに済ませようとしているのである。

会議を開きたくなる側の気持ちもわかる人もいるだろう。そうでもしないと、皆が何をやっているのかさっぱりわからなくて「不安」だからである。上司にどうでもいいことまで逐一報告。これが会議を減らす近道かもしれない。

 

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