これは俺の手柄だ...職場で成果を横取りする「ぬすっと」の対処法
2021年12月05日 公開 2023年09月05日 更新
仕事に対しやる気があり、人間関係に繊細なのはいいが、それで健康を害してしまっては無意味。時には、仕事に無感情な人間の姿勢を取り入れ、「どうでもいいことでは悩まないようにする」のも大事なのでは?
そんなわけで、新刊『反応したら負け』から、成果を横取りする人の対処法をお届けしたい。
※本稿は、カレー沢薫著『反応したら負け』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「これ、俺の仕事」とドヤ顔で言う人々の正体
最初に言っておくが、今回のお悩みにはついては、ろくな答えが出せないと思う。
そもそも、無職が職場で起こるお悩みに回答するという趣旨自体、ビル・ゲイツに「アイフォンのスクショってどうすんの?」と聞くぐらい不可解だ。
だが、ゲイツなら「電源ボタンとホームボタンを同時押し」と答えそうな気がするし「最近、背面タップでもできるようになったが、スマホ置くたびにスクショしてうぜえ」ということまで教えてくれそうな気もする。
そんなわけで今回のテーマは「成果を横取りする人」への対処法だ。
当方、今まで横取りしたくなるような手柄や首級どころか蝉すら獲ったことがないので、当然それを横取りされたこともない。よって、「そんな悩みを持っている人もいるのか、デキる人は大変だな」というのが1番の感想である。
まず「手柄を横取りする」とはどういう状況か考えてみよう。自分が獲って机に置いておいた蝉を、ちょっと目を離した隙に、隣の席の奴が口にくわえていた、というなら普通に「窃盗」なので訴えやすい。
そうではなく、職場で起こる手柄の横取りとは、アイディアを同僚に言ったら、それを同僚が、さも自分のアイディアのように発表していたり、上司に企画書を出したら、上司が自分の企画のようにクライアントに提出していた、という現象である。
何しろ相手が「先に」自分のモノとして発表してしまうため、後から「それは俺のだ」と主張しても、逆に自分が横取り野郎と思われるリスクがあり、さらに相手が上司となると訴え出ることすら難しく、泣き寝入りするパターンが多いという。
横取り野郎に、盗んでいる自覚はない
そういう横取りタイプに共通するのは、横取った相手の前で「これは俺の手柄だ」と名乗りを挙げる点だという。普通、人から何か盗んだら、盗んだ相手にばれないように、蝉ならポケットに隠すなどするはずだ。
しかし横取り野郎は、隠しもせず、盗った相手の前で「これ俺が獲ったんやで、でかいやろ?」と周りに触れ回っており、盗られた相手は「なぜ、そんなことが平気でできるのか」と、怒り以前に唖然としてしまうという。
どうして相手がそんな態度をとれるのかというと、服を着ているのが不思議なレベルの恥知らずというわけではなく「本気で自分の手柄と思い込んでいる」場合が多いそうだ。
たとえば、部下が作った企画書でも、「企画書を作れ」と指示をしたのが自分なら、「実質、俺が作った」など、手柄に対する自分の関与を過大解釈し、本気で自分のものだと思ってしまうそうだ。ちなみに企画が失敗すると、自分の関与を過小にして「俺は関係ない」と言い出す。
このように、本気で自分の手柄と思っているため「こいつはぬすっとだ」と告発しても向こうはきょとんとするばかりで、泥仕合いか、最悪こちらが盗人にされてしまう。
盗んでいる自覚がないということは、何度でも無意識に同じことをする、ということなので、1度横取りされたら、今度その人間と関わる時は慎重になるしかない。
アイディアは軽々しく教えないか「次は食べる廃油がくる」など偽アイディアを掴ませるなどしよう。
相手が上司だとそうはいかないと思うが、その場合、他の部下の手柄も常習的にギっているはずである。そういう人間がいつまでたっても問題にならないとしたら、その会社自体が獲るか獲られるかの「ゴッサム企業」すぎるので、転職まで考えるべきだが、まともな会社ならそのような行動は噂になるし、部下がついて来ず、いずれ立場を失うだろう。
よってその時、総攻撃を仕掛けられるよう、まずはギられた者同士、被害者の会を作り「俺は蝉を盗られた」「私はでかいギンヤンマをやられた」など、盗品リストを作って準備をしてみてはどうだろうか。