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先人7人に聴く「プロビジネスマン」になるためのポイント

『THE21』編集部

2012年02月28日 公開 2022年11月09日 更新

先人7人に聴く「プロビジネスマン」になるためのポイント

『THE21』2012年3月号の総力特集 〔40歳から伸びる人の「プロビジネスマン」術〕 で、以下の7名の経営者やプロビジネスマンの方々にご登場いただき、自身がどんな努力をして成果を出してきたか、また人を動かし、会社を変えてきたか、といったお話をうかがった。

・俣野成敏(またのなるとし): 『プロフェッショナルサラリーマン』著者
・夏野剛(なつのたけし): 慶応大学特別招致教授/元(株)NTTドコモ執行役員
・川村益之(かわむらますゆき): (株)JTB法人東京 代表取締役社長
・荒蒔康一郎(あらまきこういちろう): キリンホールディングスス(株)相談役
・魚谷雅彦(うおたにまさひこ): 日本コカコーラ(株)前 取締役会長/(株)ブランドヴィジョン代表取締役社長
・田島弓子(たじまゆみこ): ブラマンテ(株)代表取締役/元 マイクロソフト日本法人営業部長
・藤本篤志(ふじもとあつし): ビジネス・コンサルタント/(株)グランド・デザインズ代表取締役
(本誌での記事掲載順)
 

ここでは、7人のお話を総合して浮かび上がった、プロビジネスマンになるためのポイントをまとめてみた。

 

プロビジネスマンの条件(1)回り道をすることに意義を見出せる

誰でも最初からプロになれるわけではない。

たとえば、キリンホールディングス相談役の荒蒔康一郎氏は、「最初は畑違いと思った仕事に打ち込むうちに、経営の本質に近づけた」という。日本コカ・コーラ前会長の魚谷雅彦氏も、「自分の意志は明確にもち、一方で目の前の仕事に全力を尽くしたら、評価してくれる人がいた」と語る。挑戦してみることに学びが必ずあるのだ。また、魚谷氏は「理想と現実のギャップに苦しんだとしても、それはのちに管理職になったときに、若い人に語る言葉に重みを加えるだろう」とも話してくれた。

藤本篤志氏(グランド・デザインズ社長)は、入社後十数年は「守破離」でいうところの「守」だとたとえてくれた。型をしっかり形成する時期ということだ。先述の2人の例からも、「守」はのちに必ず生かされるということがよくわかる。

 

プロビジネスマンの条件(2)視野を広くもち他業種から学べる

JTB法人東京社長の川村益之氏は、管理職には思考の柔軟性が求められると話す。それを身につけるためには、「いろんな人に出会い、多様な価値観をもつ人たちに触れること」が重要だといい、自身も経営者層の集まりに積極的に参加しているという。

魚谷氏もこれを勧めている。自分の業界だけではなく、まったく違った業界のコラボレーションで新しいサービスが生まれる。「新しい発想は、自分の業界だけをみていても出てこない。自分の価値を高めたいなら、会社を離れた交流が重要」と語る。

『プロフェッショナルサラリーマン』著者の俣野成敏氏は、「プロは自分で仕事を『つくって』『回して』『稼ぐ』ことができる」と話す。仕事を「つくる」とは新たな仕事を生み出すこと。視野を広くもってこそ、可能になるだろう。

 

プロビジネスマンの条件(3)人を動かして成果を出せる

夏野剛氏(慶応大学教授・元 NTTドコモ)は、アウトプットの重要性を強調する。管理職の仕事はマネジメント。つまり、人を使って、単独での仕事の何十倍、何百倍もの成果を出すことだ。それができるか否かによって、管理職としての成果は大きく異なる。夏野氏は、チームが120%の力を発揮するためには「情報を共有し、主体的に動いてもらう」ことが肝要だとする。人のやる気は、細かい指示を出されるよりも、「任せてもらった」ときにこそ発揮されるからだ。

情報共有の重要性は、田島弓子氏(ブラマンテ社長)も説いている。田島氏はマイクロソフト時代、「ほんとうはマネージャークラスしか知らないことなんだけど」と特別な情報をあえて開示することで、部下のモチベーションをアップさせた。こうした工夫は、チームのアウトプットを高めるうえで効果てきめんだったようだ。

プロビジネスマンの条件(4)
夢やビジョンを下の世代に伝えられる

荒蒔氏は、「夢をもつように指導すること」の重要性を説く。いまの20代は、縮小する日本経済をみて育ち、夢をみることをあきらめてしまっている人も多い。だからこそ、「われわれがやりたいことは、こういうことだ」というビジョンを示すのはリーダーの役割になる。

また、川村氏は、JTBモチベーションズを立ち上げたときに部下からいわれた言葉によって、「仕事にやりがいを感じるためには、自分たちの会社が何をめざしているか、何のために存在しているか、理念やビジョンを共有することが不可欠」と気づかされたという。

成果を出すことはプロとしての必要条件だが、それだけでは十分とはいえない。会社という組織、仕事の目的やその先にある夢を、いかに下の世代に伝えられるか。これもプロビジネスマンには重要なことなのだ。

 

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