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[ビジネスマナー] 好感をもたれるコミュニケーションとは



2012年03月27日 公開

山崎武也 (ビジネスコンサルタント)

《 『いますぐ身につけられるビジネスマナー』より 》

相手の立場で考えて振る舞うことが、マナー。

 野球やテニスなどのスポーツ、バレエや日本舞踊などの表現的芸術、武道や茶道などの技法を習ったり練習したりするときは、まずそのフォームないしはカタチを身につけることに専念する。

 それぞれのジャンルで長年にわたって練られ築き上げられてきたカタチが、その道の骨子となっている。

 それは約束事となっていて、それを守ることが、「入門」の条件となっている。

 そのルールを守らなかったら、その世界には入れてもらえないし、すでにその中にいる人たちの誰からも相手にされない。

 また、そのジャンルの教えを忠実に守って切磋琢磨を図るのが、その世界で秀でるための確実な早道である。

 ビジネスの社会におけるマナーもそれとまったく変わるところはない。

 もちろん、仕事そのものがきちんと目的に沿ったかたちでできなくてはならない。

 だが、それだけでは十分でない。

 仕事を遂行していく過程で、同じ組織の中の上司を始めとする人たち、それに取引先などの外部の人たちと、さまざまな場面で接していくことになる。

 その際に、どのようなものの言い方をし、どのような行動をとるべきかについて、皆の、というよりも正確には、洗練された人々のコンセンサスを得た方式がある。

 それがビジネスマナーである。

 したがって、それを知らなかったり実行できなかったりしたら、ビジネス社会の一員としての資格に欠ける。

 マナーも仕事の能力の中の重要な一部分である。

 仕事そのものに熱心になるあまり、マナーを無視していたら、結局は「能無し」の烙印を押されることにもなる。

 それはビジネスパーソンとしては恥ずべきことといわなくてはならない。

 仕事そのものができることと、正しいマナーにのっとった言動ができることとは、車の両輪のようなもので、その2つが相まってこそ、一人前の社会人といわれる資格がある。

 学生時代から持ち続けてきた自由奔放な精神を失ってはならない。

 それは内なるエネルギー源として燃やし続けながらも、それを品のいいマナーで覆っていくのだ。

 情熱とマナーとを融合させていけば、周囲にいる人たちも、その節度ある仕事ぶりに共感をして、自分を盛り立ててくれて協力を惜しまないようになるはずだ。

 マナーの根幹には、相対する人に敬意を抱き、常に相手がどのような考えをしているかを推測したうえで、礼儀正しい姿勢を崩さないという心構えがある。

 自分の欲をできるだけ抑えて、相手の意向を優先するのがコツである。

 マナーには、仕事のみならず人生がスムーズに進んでいくために必要な潤滑油のような働きがある。

 

大事な人に会う前に、自分の印象を少しでもよくしよう。

 家族や馴れ合っている友人と会うときは、自分の顔や身なりにそれほど気を遣うことはない。

 だが、初対面の人や自分にとって重要度の高い人と会うときは、ちょっとした緊張感を覚える。

 相手に対して失礼にならないようにと気を遣って、身なりを整えようとする。

 女性の場合は、鏡に向かって頭のてっぺんから足の爪先まで点検する。

 化粧を直したりもするだろう。

 男性の場合でも、ネクタイの歪みを直すくらいの神経は遣う。

 特に新入社員であれば、取引先の人たちはもちろんであるが、社内の人たちも、どんな格好をしてどんな性格であるかを、興味津々と見守っている。

 相手にどんな印象を与えるかによって、その相手の対応の仕方も異なってくる。

 自分がきちんとした人間である点を相手に伝えるべく、できる限りの努力をする必要がある所以だ。

まず最初にすべきは、
自分の気を引き締めることだ。

 何のために会うのかをよく考えたうえで、相手に自分のベストを見せようとして神経を集中していく。

 本来ならば、水で身体を洗って清める、すなわち「みそぎ」をするくらいの気持ちを醸成していかなくてはならない。

 そのくらいの真剣さが必要なのである。

 しかしながら、ビジネスの場では、そのような時間を持つことはできない。

 さらに効率を重視する点から見れば、それは到底許されるものではないし、非現実的なことこのうえない。

 そこで、清めることとビジネスの効率性との間に折り合いをつける必要が生じる。

 神社に参拝するとき、拝殿に行く前に手水舎(ちょうずや)がある。

 そこで柄杓(ひしゃく)を使って両手を洗い口をすすぐ。

 自分の身を清めると同時に、心の中まできれいにしてから、拝殿に詣でるのである。

 これと同じようなことをすればいい。

人に会う前に手洗い場に行って、
顔や手を洗ってきれいにするのだ。

 場合によっては、手だけ洗うのでもいい。

 極めて簡単なことであるが、心を込めてすれば、邪気を払ってすがすがしい気持ちになるという効果もある。

 極めて略式なかたちの「みそぎ」ないしは「清める」という行為を、インスタントにするのである。

 顔と手は人目につく。

 洗えば物理的にもきれいになるので、相手に与える印象もさわやかになる。

 自分は心身ともにきれいであるという自信があるので、物おじすることなく、積極的に人に接していくことができる。

顔と手をきれいにすることで、
さわやかな印象を与えられる。

 

打ち合わせ中は絶対時計を見てはならない。

 打ち合わせや会議の約束をするときは、当然のことであるが、その日時と場所と用件について取り決めをする。

 だが、日時については、集まる時間は決めても、何時までに終わらせるかについて合意していない場合が少なくない。

 どのくらいの時間がかかるかについて、それぞれが勝手に見当をつけているのだ。

 それは極めて中途半端な仕事の仕方であるといわざるをえない。

 ビジネスにおける時間の重要性は強調しても強調しすぎることはないので、もっと厳しく考えておく必要がある。

 1分1秒に千金の価値があり、千鈞(せんきん)の重みがあると考えておくくらいの心掛けを忘れてはならない。

時間にルーズな人に対して私がとっている策は、
時間を決めるときに分単位でいうことである。

 すなわち、11時半といわないで、11時27分と細かく刻んだいい方をする。

 11時半といったのでは、11時半をちょっとすぎたころであっても平気な顔をして現れる。

 だが、11時27分といえば、その時間の前までに来なくてはいけないという考え方になるはずである。

 要は、時間について厳格に考えて守ろうとする意識を高めるためである。

 しかしながら、相手とそれほど親しくなかったり、相手が目上であったりする場合にこのようなことをいったのでは、ふざけていると解されたり、失礼な奴であると断じられたりする危険性がある。

 したがって、私の場合でも、実際には私の教室の人たちにいうときに限られている。

 時間が大切なのは、自分にとってだけではなく相手の人にとっても同じである。

自分の時間を大切にするあまり、人の時間を犠牲にするのは、
特にビジネスの場では恥ずべき行為だ。

 時間についてサバを読む人は、自分の都合ばかり考え、得てして人の時間を無駄にする結果になるので注意を要する。

 互いに駆け引きなしで、正直に考えたうえで決めた時間について、その時間内に打ち合わせが終わるように努力する。

 打ち合わせが時には時間どおりに進行していないときもあるが、そのようなときでも時計を見てはならない。

 それは時間を必要以上に気にしているというサインになるので、相手の仕事に対する意欲を、幾分かであれ削ぐことになる。

 予定した時間どおりに打ち合わせを終えるのも重要であるが、それ以上に大切なのは、打ち合わせの内容や結果が双方にとって満足のいくものになることだ。

 ほかのことを考えないで、相手と共有し共用している時間に集中するという姿勢を崩してはならない。

 これは目の前にいる人を最重要視し最優先することで、ビジネスの場のみならず人生のあらゆる場で必要な心掛けである。

打ち合わせは
終わりの時間も決めておこう。

 

 

山崎武也(やまさき たけや) 山崎武也

(やまさき・たけや)

ビジネスコンサルタント

1935年、広島生まれ。1959年、東京大学法学部卒業。国際関連業務に携わる一方、著作にも積極的に取り組み、同時に茶道裏千家などの文化面での活動も続ける。
「上品な人、下品な人』(PHP研究所)は、20万部を超えるベストセラー。最近の主な著書に、『弁護士に依頼する前に読む本』(日本経済新聞出版社)『60歳からの人生の愉しみ方』(三笠書房)『「逆考」のすすめ』(PHP研究所)『人生に必要なことはすべて茶席に学んだ』(講談社)などがある。


◇書籍紹介◇

 いますぐ身につけられるビジネスマナー

山崎武也 著
本体価格 1,000円   

身だしなみ、挨拶、お客様対応から、お酒のつぎ方まで。新入社員がビジネスで直面するシーンで、相手に好印象を与える方法を解説。



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