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忙しいのに「本で必死に教養を学ぶ人」が時代遅れなワケ

成毛眞(HONZ代表、元マイクロソフト社長)

2022年07月01日 公開

 

知識の9割はインターネットから得る

かつて「教養人」と呼ばれた人びとは、古典的な哲学や文学、自然科学などの本を読み、そこで得た幅広い知識に精通し、難しい言葉と理屈を並べて自らの教養の高さを示したものである。

もちろん、本物の教養を身につけ、今でも大学などで教鞭をとっている人もいるだろう。

しかし、これだけテクノロジーが発達し、便利な電子ツールが溢あふれる現代において、多忙なビジネスパーソンはそうした古典を読む必要はない。

知識を得るために本を買い、あるいは図書館に行って本を探し、ページを開いて、そこに書かれた知識を自分のものにするのは結構だが、恐ろしく時間がかかり、コスト面からみても効率が悪いことこのうえない。

実際、筆者自身、これまで古典の類をほとんど読んでこなかったし、これからも読むつもりはない。

それでは本物の教養は身につかないのではないか、と悲観する必要はない。筆者は今、知識の9割を、本ではなくインターネットから得ている。

本を買ったり、図書館に行ったりする時間が節約できるからではない。最大の理由はネットの文章が簡潔であることだ。

さらに、今やYouTubeでは、専門家の授業を、誰でも、好きな時間に受けられる。本では、写真や図が理解の補助として添えられているが、それよりも動画で説明してもらったほうがはるかに理解しやすい。

断言しよう。これから差がつく能力はたった1つ。
ネットでググる(グーグルで検索する)力。これだけだ。

インターネット空間を自分の大脳の延長、教養のデータベースとして、徹底的にググる。そうすることで「最短ルート」での学びが可能になる。要するに、長い時間をかけて大量の本を読み、大量の知識をインプットするという作業をネットで代行すればいいわけだ。

SNSやチャットで何でも聞きたがる輩やからに対し、「ググレカス(野郎)」と言い放つが、いまやカスでなくてもググりまくる時代になった。

本を読むのは面倒くさいが、古今東西の知識を職場やプライベートで役立てたいという人だけでなく、本を読む時間が全くないという人にも、ネットでググる方法を実践していただきたい。

 

大事なのは「何をググるか」

勉強で失敗する人は、未知の学問について「入門」から順に学ぼうとしてしまう。学生ならそれもいいが、どうしても時間がかかり、膨大な情報の渦にのまれ、呆然とするのが関の山だ。

また、未来予測や投資に使える「知識」は、それとは別。ある意味、狙い撃ちして知識を習得しなくてはほかの人と差別化できない。

ポイントはずばり、「検索ワード」。

たとえば、「戦争リスク」について知りたい時、「第二次世界大戦」とググってはいけない。世界大戦のような大国間の武力衝突は、何十年も起きていないからだ。

これから実際に起こるかもしれないことを予測したいなら、「半島と戦争」「領土争い」などを検索ワードに選ばないと意味がない。

「ネットでググる」は、最も効率がいいのに、おそらく誰も教えてこなかった「ずるい勉強法」である。一つ上のステージで戦う40代以上のビジネスパーソンにはうってつけだし、20代の若者にも十分役立つ。

少なくとも、40歳になったらこのやり方で教養を身につけることを強く勧める。あなたの目の前には、これまで通りの詰め込み型の勉強を続けるか、コスパのいい「学び」に切り替えるか――という2つの選択肢しかない。

本ネット記事を読んで納得してもらえたのなら、さっそく「半島と戦争」を検索して、知の航海を楽しんでほしい。

 

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