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大人なら当たり前に使っている「12種類のウソ」とは?

渋谷昌三(目白大学名誉教授)

2022年08月12日 公開 2024年12月16日 更新

 

調査からわかった「日常で使うウソ12種類」

一口にウソと言っても、その内容はさまざま。たとえば、年齢をごまかすウソと金銭詐欺のウソ、同じウソと考えるのは無理があります。私たちは、どんなウソをつくのでしょうか。

実は、私自身が行った調査「対人関係におけるdeception(嘘)」〔『山梨医科大学紀要』(第10巻)、1993年〕では、全部で12種類のウソがあることがわかっています。

その調査は、都内の大学生と社会人の男女を対象としたもの。どんなウソをいつ頃、誰につき、どんな結果になったのか、自由回答してもらったのです。

その結果得られたのが、次の12種類です。

(1)「予防線」のウソ……これから予測されるトラブルを避けるためにつくウソ。たとえば、相手からの誘いを断るために、「その日は予定が入っている」とウソをつくようなケースです。

(2)「合理化」のウソ……いわゆる「言い訳」のためのウソです。約束を守れなかったときなどに、批判を避けるためにもっともらしい理由をつけるケースなどがこれにあたります。

(3)「その場逃れ」のウソ……何かをしたかどうか問われたときなどにつく、一時しのぎのウソがこれにあたります。

(4)「利害」のウソ……おもに金銭が絡む状況で、自分に有利なかたちに持っていこうとしてつくウソです。

(5)「甘え」のウソ……自分を理解してほしい、また擁護してほしい、という目的をもってつくウソです。

(6)「罪隠し」のウソ……自分が犯した罪を隠そうとするときにつくウソです。

(7)「能力・経歴」を偽るためのウソ……自分の立場を相手よりも優位に置こうとするときにつくウソです。

(8)「見栄」のウソ……自分をよく見せたいと思ったときにつくウソです。

(9)「思いやり」のウソ……相手を傷つけまいとしてつくウソです。

(10)「ひっかけ」のウソ……冗談やからかいなどがこれにあたります。それがウソだとわかっても笑って済ませられるようなウソです。

(11)「勘違い」のウソ……これは、本人にウソの意図がないケースです。いい間違いや勘違いのせいで、結果的にウソになってしまった、というものです。

(12)「約束破り」のウソ……一度した約束を、意図的でないにしろ守れなかったときに生じるウソ。友だちと映画にいく予定だったのに、急な仕事が入ってしまいキャンセルした、などがこれにあたります。

 

ウソは人の性格を理解する上で参考になる

私たちが日常的に経験するウソは、この12種類によってほぼ網羅されていると思います。あらためて整理してみると、実にさまざまな理由でウソをついていることがわかります。

(1)から(10)のウソに関しては、それがウソだと自覚し、明確な目的もあるわけですから、目的に合わせて10種類のウソを「使いこなしている」とさえ言えるのではないでしょうか。

もし、あなたが誰かにウソをつかれたら、そのウソがどんな理由によるものなのか、考えてみてはいかがでしょう。同時に、あなたがこれまでどんな種類のウソをついてきたか、振り返ってみてください。人の性格を理解するうえで、とても参考になるはずです。

たとえば、同じウソつきであっても、(4)「利害」のウソをつく人よりも、(9)「思いやり」のウソをつく人のほうが、好意が持てます。(8)「見栄」のウソばっかりついて嫌われている人もいるような気がしますし、何か失敗すると(2)「合理化」のウソをつく言い訳がましい人にも心当たりが……などと考えるのは、かなり楽しい作業です。

 

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