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なぜいつも勝ち馬に乗れるのか? 社内で「意見が通る人」の特徴

和田秀樹(精神科医)

2022年10月03日 公開

 

「味方に欲しい」と思う人材になるには

日本は縦社会だと言われる。だからひと昔前の会社には「上司には絶対服従」「上司から誘われたら、飲み会もゴルフも当たり前」といったイメージがあった。

だからいまも、意見を通すときはなんとなく上司の顔色を窺うところがある。もちろん、上司の攻勢をシミュレーションして意見を練り直したり、対策をうつことは悪いことではない。

しかし、1つだけ陥ってはいけない罠がある。それは「この人相手に意見が通らなかったら終わりだ」と考えてしまうことだ。

縦社会と言われる日本だが、実は会社組織だけを見るとアメリカの方がよっぽど縦社会だったりする。アメリカではボス(上司)が人事権を持っており、部下が思うような結果を出さないと、首を切ることができる。

一方、日本の会社では人事部が人事権を持っていて、直属の上司であっても部下をクビにはできない。それでも、やっぱり上司の顔色を見てしまう。このような人は「上司を突破すること」が目的になってしまっていないか注意したい。

私は運よく東大を出ることができたが、その理由は灘高校に行ったからだと思っている。なぜ灘高校をはじめとする進学校が毎年あれだけの合格者を出せるかといえば、受験ノウハウを教え合っているからだ。

はたから見ると、「生徒は全員ライバルで、校内はさぞかし殺伐としているのでは」と思われがちだ。しかし、実はそうではない。

むしろ「灘の東大合格者数1位を守ろう」という仲間意識が強く、「この参考書がいい」とか「今年から出題傾向が変わるらしい」といった情報を共有し合っていた。困ったときには仲間に助けを求め、解決策を見いだす。

つまり「仲間力」が東大合格という高いハードルを乗り越える鍵になっていた。社内であれ社外であれ、仲間が多いことに越したことはない。社内に仲間が多ければ、「このような意見を通したいのですが、どうしたらよいでしょう」と相談する相手も増える。

逆に、別の上司に協力を仰ぎ、波風が立たない程度に口を利いてもらうこともできるかもしれない。また同じ部署の同僚10人で上司に具申するという手もある。できる人は「自分ひとりVS上司」という孤独な構図を作らないのだ。

また、もし可能であれば、自分より出来のいい人達のグループに入れてもらうといい。海外出張が多いチームと仲良くなれば、視野が一気にグローバルに広がるし、さらにレベルの高い人はそれなりの人脈も持っているから、さらに「仲間力」が強化されるはずだ。

また当然のことながら、イヤな奴に仲間力はつかない。明治維新のとき、幕府側の人間でも新政府に採用された人がいるという。つまり、敵なのに「味方に欲しい」と思わせるだけの力がある人ということだ。こういう人が、「仲間力」を手に入れることができる。

では「味方に欲しい人材」とはどのような人間だろうか。私見だが、私の経験から3つ挙げさせていただく。

1つは、人の悪口を言わない人間だ。たとえ上司が自分の意見を通してくれなくても、文句は言わない。たとえそれが上司であっても、イジワルをされた同僚だったとしても、ボロクソに言う人はいつか恨みをかう。

2つ目は、意見が通らない理由を人のせいにしないこと。理由はともあれ、自分は負けたのだから、それをいさぎよく認められない人には、次も力を貸してくれない。

3つ目は、負け戦とわかっていても上に忠誠を誓う人。最後までとことんついていく気概のある人は、誰からも頼りにされる。真っ先に逃げる人は、ある意味「先を読む」スキルが長けていると言えるが、そのような人から忠誠心は感じられないだろう。

 

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