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効率的な人が「3分のスキマ時間」に実行する仕事とは

清水克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)

2022年11月04日 公開 2024年12月16日 更新

効率的な人が「3分のスキマ時間」に実行する仕事とは

仕事をする中でどうしても生まれてしまう「スキマ時間」。3分~5分程度の時間でも、年単位で見れば膨大な時間となっていることが多い。政治・教育ジャーナリストの清水克彦氏が、スキマ時間を有効に活用するコツを紹介する。

※本稿は、清水克彦著『残業ゼロで自分を伸ばす! 40歳からの時間術』(PHP文庫)から一部抜粋・編集したものです

 

1日の時間割を決めてからスタートする

時間とはスーツケースのようなものだ。荷物をきちんと整理して入れようとすれば、相当な量を収容することができるし、適当に詰め込もうとすれば、あまり多くのものが入らない。

また、「かさばるから洋服を1枚減らそう」とか「持っていくネクタイを1本少なくしよう」と考え、それらを減らしたからといって、画期的に広いスペースが生まれるというものでもない。

時間も、まさにスーツケースの空間そのもので、計画性なしに過ごしていては、1日24時間はあっという間に過ぎていく。

しかも、「少しでも時間を節約しよう」と、部分的に効率アップを求めるだけでは、時間という資産は一向に増えない。

アラフォー世代のあなたが、自分を伸ばしたいと思い、劇的に自分の自由になる時間をひねり出したいと考えるなら、次の3つに留意することだ。

○「好きなこと」「興味があること」「得意なこと」の中から、これから何をしたいのか、伸ばしてみたいのかを決める。

○それをするために、仕事の大半をランチまでに片づけると決め、午前中に何をやるか計画を立てる。

○仕事に関しては、少しずつ時間を節約するという考え方を捨て、「一気に半分の時間で処理できないか」と考える。

社会人の生活には時間割がない。

小学校から大学までは、「1時間目は○○」「2時間目は□□」とカリキュラムが決まっていたので、それが嫌でもやらざるをえなかった。また、バランスの取れた人間になるために、様々なことを学ぶ必要があった。

ところが社会人の生活は、「はい、自由にやってくださいね」と言われているのと同じだ。それだけに、限りがある時間をどう使うのかがカギになるし、アラフォー世代ともなれば、「これだ」と本当に思えるものだけに特化して、時間とコストを投資し磨いていくべきなのだ。

そのためには、まず第一に、自分の時間割を持つことだ。

ここでいう時間割とは、何時に出社し、最初に何を処理し、午前中はどういうふうに仕事を進めるか、そして午後はどれだけの作業を処理するか、ざっとでも頭の中で整理しておくという意味だ。

たったこれだけでビジネスライフは全然違ったものになる。

舞い込んだ仕事を順番にこなしていく方法だと、他人が「主」で自分が「従」になるので、自分のペースで仕事ができず、その結果、時間に追い立てられる生活になる。

しかし、自分で時間割を持っておけば、よほど急ぎの仕事でない限り、頭の中で描いたとおりに順を追って作業することが可能になる。

第二は、ランチまでに1日の仕事の大半を片づけてみようと考えることだ。

私の場合、執筆に充てる時間やそのための取材時間を確保するため、朝8時前に出社し、午後は定時に会社を出る生活を送っている。

「早く起きることで1日は長くなる。早起きすればやれることは無限にある」

これは直木賞作家、浅田次郎さんの弁だが、どんな職場であっても、「人より早く出社し、頭が冴えている午前中に猛然と仕事を処理する」という先行逃げ切り型のほうが、午後から自分の時間を確保しやすくなり、1日を有効に使えると私も確信している。

第三は、1つの仕事にかける時間を一気に半分にするという手法である。

いつもは3時間かかっていた仕事を、少し効率アップさせたために2時間半で終えられたというのでは、その日だけ30分節約できたにすぎず、再現性がない。

また、一つひとつの作業を「5分短くできた」「10分短縮した」という程度では、一時的なラッキーに過ぎないので、「いっそ半分の時間でできないか」と、自分のこれまでの仕事のやり方を根本的に見直してみることが大事なのだ。

あなたが管理職であれば、職場内の伝達手段を抜本的に改革するとか、仕事を抱え込むタイプであれば、部下を育てる意味で部下や後輩に任せてみるとか、あるいは、企画書などを作成する際、いきなり画期的なものを作ろうなどと思わず、前例をマネるところから始めるとか、ドラスティックに時間を短縮する方法を考えてみよう。

 

スキマ時間を上手に利用するコツ

仕事の場合、時間割を作っても学校のようにきっちりとはいかないケースが出てくる。作業の種類によって所要時間に長短があるし、途中に会議や打ち合わせ、不意の来客や思ってもみないトラブルに遭遇することもある。

そういう中で、どうしても生じてしまうのが、3分、5分、10分といったスキマ時間である。このスキマ時間が実はバカにならない。

平均的な人で1日30分のスキマ時間が生じるとすると、月曜日から金曜日まで150分(=2時間半)だ。1カ月では10時間、1年では120時間もの時間ができることになる。

「会議が思ったよりも早く終わった」
「取引先が来社する時間が少し遅れる」

といった場合に生じるこのスキマ時間を、上手に利用するか、ボーッとして過ごすかによって、長い年月で大きな差が出ることになるのは言うまでもない。

第42代アメリカ大統領、ビル・クリントン氏は、
「小さなことを大事にできる人が成功者になれるのです」

と語っているが、私は、「小さな時間を大事にする人が大きな夢を実現できる」と考え、スキマ時間活用のプロになろうと努めてきた。いくつか例を挙げてみよう。

〈3分仕事〉

○新しいメールが届いていないかチェックする。手短に済むものなら返信しておく。
○上司や同僚に報告や連絡をすべきものは済ませておく。
○インターネットで、商談に使える最新ニュースやトピックスがないか見ておく。

〈5分仕事〉

○電話でアポイントを取る。取引先や顧客に電話を入れてみる。
○立て替えや交通費など、簡単に精算できる伝票を処理しておく。
○部下や後輩に依頼する仕事があれば、資料を渡して期日や中身を説明しておく。

〈10分仕事〉

○長文での返信が必要な相手にメールを書く。パソコンのワードなどで簡単に打てる企画書などを仕上げる。
○新聞や雑誌で新商品の情報や話題のスポットなどをチェックする。
○商談や重要な会議の前なら、どんな話から切り出すのかシミュレーションする。

このように、スキマ時間の長さに応じ、「3分仕事」「5分仕事」「10分仕事」といったリストを作って頭の中に入れておけば、不意に生じた時間を無為に過ごすことがなくなる。

また、これらの中には、短い時間を利用して情報を集めるとか、翌日以降のアポイントを取るといった攻めのスタイルが含まれているので、これによって相当、仕事を前倒しすることもできる。

さらにいえば、スキマ時間を活用してテキパキと作業を処理できるようになれば、社内外を問わず、「彼は仕事が早い」「彼女は手際がいい」といった周囲からの評価にもつながってくるのだ。

 

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