ミスを繰り返す部下にイライラ...「感情的な叱りつけ」をやめるための4ステップ
2025年02月20日 公開
何度も繰り返される部下のミスにイライラ、ついカッとなって叱りつけそうになる...。そんな経験はありませんか? 感情的になって部下を叱っても、多くの場合、良い結果は生まれません。どんな時でも部下と建設的な関係を築くために、リーダーは自分や他者の感情を効果的に扱う方法を身に着ける必要があります。
※本稿は『ミネルバ式 最先端リーダーシップ 不確実な時代に成果を出し続けるリーダーの18の思考習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
職場でネガティブ感情に向き合う練習
あなたの職場に、何度注意しても同じミスを繰り返すメンバーがいたとします。あなたはいよいよ腹に据えかねて、そのメンバーを会議室に呼び出します。
「そもそも反省してないんじゃないのか?」
「ちょっと厳しめに言ってやらないとわからないんだな」
という内なる声とともに、あなたは顔をこわばらせ、自分の怒りを言葉や声のトーンに込めてぶつけようとします。
「あのね......」
はい、ここで一旦止めてください。ここで「感情の俊敏性」の4ステップを思い出しましょう。
①自分のパターンを認識する
②自分の思考や感情にラベルを貼る
③それらを受け入れる
④自分の価値観に基づいて行動する
一呼吸おいて、自分のパターンにまずは気づきましょう。「思えば自分は誰かがミスをするたびにこうしてイライラしたり、相手の問題行動の原因を探ろうとしたりする癖があるな」と気づくかもしれません。このメンバーに限っては「またいつミスを起こすかわからない」という目で監視している自分に気づくかもしれません。
こうして自分の行動を客観視できたら、次に自分自身の感情や思考にラベルを貼り、それらを受け入れます。
ここでは「怒り」や「苛立ち」があるかもしれません。あるいは、どこかで「不安」も感じているかもしれません。「厳しく言わないとこのメンバーは変わらないと思っている自分がいるな」と客観視できるかもしれません。湧いてくる感情や声を一旦受け取り、言語化したら、それらを保留します。
感情が特定できたら、その感情の奥底で自分が求めている理想や価値観に目を向け始めます。
自分の怒りや苛立ちの根っこをたどっていくと、「ああ、結局自分の言葉をしっかり聞いてほしいんだな」と気づくかもしれません。または、「部下のリスペクトが欲しいんだな」と感じるかもしれません。あるいは「結局自分は『自分の思うように相手をコントロールしたい』だけなんじゃないか」と気づくかもしれません。
ここまで気づくことができれば、「今、感情のまま衝動的に反応してしまうことで、自分が求めている理想を叶えることができるのか?」を問うことができるようになります。
このケースではつまり、「怒りにまかせて相手を怒鳴りつけたり厳しく指導したりすることで、結果的に相手は自分に耳を傾け、リスペクトを払ってくれるようになるのか?」という問いです。
答えはおそらくNOでしょう。
リーダーに求められる感情の俊敏性
ではどうすればいいのか?
自分にとって、相手にとって、両者の関係性にとって何が最も望ましいのかを真摯に考え、建設的な言葉や行動を選び取っていくのが、まさにリーダーに求められる感情の俊敏性です。
私自身もそうですが、こうした実践は非常に難しいことです。頭ではわかっていても、感情にラベルを貼ることさえなく、反射的に反応してしまい、その結果望まない方向に物事が進んでいくことは往々にしてあります。
このようなときは、少なくとも事後、その出来事を内省的に振り返ると良いでしょう。
「今日はあの時つい反応的な態度をとってしまったけど、自分が抱いてた感情はこれで、本当はこんな理想を求めていたんだよな」というふうに、事後的に自分の感情や理想状態を明らかにしていきます。
対人的な問題行動はだいたいパターンで起きますから、次に同じような局面になったとき、より理性的・意図的に状況を観察できる力がこれで高まっていくと思います。