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好かれる人がやっている「話の聴き方」 すぐに使える便利なフレーズ

山根洋士(「メンタルノイズ」カウンセラー)

2026年05月19日 公開

誰かに悩みを打ち明けたとき、ふと相手への親しみが深まった経験はないでしょうか。あるいは、ただ話を聞いてもらっただけなのに、不思議と気持ちが楽になったことは? じつは「聴く」という行為には、人間関係を自然と近づける力が備わっています。そのメカニズムについて、書籍『聴く技術 あなたの会話が今日から変わる』より解説します。

※本稿は、山根洋士著『聴く技術 あなたの会話が今日から変わる』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

相談相手を好きになるのはどうして?

「聴く技術」には、人に好かれやすくなるメリットもあります。

「カタルシス効果」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。簡単にいうと、悲しみや怒りなど、モヤモヤした感情を吐き出すことですっきりする効果です。

カタルシスは「心の浄化」とも表現されます。かの有名な心理学者・精神科医のフロイトはカタルシス効果を精神分析療法の中で活用していたことで知られています。

あなたも何か嫌なことがあったときに、誰かに話すことでモヤモヤが晴れた経験はないでしょうか。私のようなカウンセラーも、相手の心のモヤモヤを解消するために、相談者にカタルシスを得てもらいます。そのために話を聴くのです。

カタルシス効果は、あなたが話を聴く側になることで、ふだんの仕事や人間関係にも活かすことができます。

仕事でもプライベートでも、まず大切なのは信頼関係です。信頼がなければ、人に仕事をお願いすることも、誰かに好意を抱くこともありません。

もし誰かがあなたとの会話でカタルシスを感じたとしたら、信頼関係を非常に築きやすくなります。なかなか言えなかった悩みや不満を打ち明けることで、グッと心の距離が縮まるわけです。

恋や仕事の相談相手を、いつの間にか好きになっていた、というのも同じです。でもちょっと待ってください。

そもそも、親しくもない相手に何でも打ち明けてもらうことは難しいのではないかと思いますよね?

その通りです。だから聴く技術が役に立つのです。

こちらからアクションできるのは「聴く」こと。カウンセラーも、聴く技術を使って信頼関係を築いていきます。

 

いかに心理的なハードルを下げられるか

聴き手の役割は、相手を受け入れる、認めることから始まります。

それが、相手の心を開くことになり、話しやすい雰囲気をつくることになります。

最近、企業の組織論の中で「心理的安全性」が重要視されています。

心理的安全性とは、組織行動学を研究するエドモンドソンが提唱した心理学用語で、ほかの人が自分の発言を否定したり、拒絶したりしないと安心できることです。心理的安全性を高めるとは、要するに躊躇せず何でも言える状態にすることと言えます。

これは組織のマネジメントに限らず、会話においても同じく大切です。受容とは、相手が何を言っても受け止めて、自分の価値観や考え方とは関係なく、丸ごと認めて理解すること。そうして発言の心理的ハードルを下げ、会話の心理的安全性を高めることが、聴く技術なのです。

 

すぐ使える「受容」の一言

ここで1つ、すぐに使える便利な聴き方を紹介しましょう。

それは、「そうだよね」「そうですよね」「そっか」といった一言を返すこと。これは受容・共感・自己一致でいうと、受容を示す便利なフレーズです。

例えば上司と部下の面談で、部下が、「どうしても自分で仕事を抱えるクセがあって……。よくないとわかっているんですが」などと告白したら、まず一言めは、「そうだよね」と返します。

「どこに原因があるのかな」とか「自分だったらこうする」などと話したくなるかもしれませんが、その前に「そうだよね」と受容する。これだけで相手の心理的なハードルはずいぶん下がります。

雑談の場面で、例えば同僚から、「あのクライアント、あまり好きじゃないんだよね」といったネガティブな反応があっても、まずは、「そっか」と一言入れる。「なんで?」と深掘りしたり、「そういうのは仕事ではよくないよ」と意見したり、「こういうところが嫌だよね」と話を合わせたりしたくなるかもしれません。でも、まずは受容です。

何を言おうかとあれこれ考えるまでもなく「そうか」でいいのです。

私もカウンセリングの技術を身につけるまでは、教えたり、意見したり、反論したりしてしまうタイプでした。まっさらな状態で素直に聴くということは、意識しないとなかなかできないことなのです。

しかし、誰が相手でも、どんな話でも、まず「そうだね」と受容するようになったら、相手がさらによどみなく話してくれるし、言い合いになることもないし、本音が出てきて関係が深まることも多々ありました。

「そうですよね」「そうか」は、「なるほど」とも「そうなんですか?」とも違います。自分の解釈も感情も一切挟まない、素直に聴ける便利なフレーズです。

不思議なもので、実際に使ってみると会話がスムーズになるだけでなく、相手に対するいらだちや不満や疑問も薄らいでいって、自分の気持ちもらくになります。相手の印象も変わっていきます。

フラットに、素直に聴く。これがこの本の聴く技術の本質です。

 

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