サルコペニア肥満はメタボより怖い!
2014年01月30日 公開 2022年12月22日 更新
サルコペニア、サルコペニア肥満にならないために
サルコペニア肥満にならないためには筋肉を鍛える
では、サルコペニアやサルコペニア肥満にならないためにはどうすればよいのでしょうか。
「筋肉」を鍛えればいいのです。そして、もともと肥満がある人は、肥満を解消する(脂肪を減らす)ことも重要です。
肥満を解消するには、減量するのではなく、筋肉を増やすことがいちばんです。
筋肉は、鍛えなければ1年に1%ずつ落ちていきます。筋トレを続けていけば、筋肉の落ち方が緩やかになり、肥満を解消することが可能になります。同時に筋肉がつくことで、より健康になるため、サルコペニア肥満も防げます。
筋トレやストレッチをし、肥満があるなら有酸素運動も
細くなった筋肉を鍛えるには、筋トレが有効です。
(本書では、2週間を1クールとしたストレッチ&筋トレプログラムを紹介しています)
また、筋トレ後30分以内に肉や魚、卵などのたんばく質をとれば、筋肉が増えやすくなることがわかっています。
筋肉が増えれば、基礎代謝が上がり、脂肪が燃えやすくなります。
脂肪を燃やすためには、有酸素運動がおすすめです。ウォーキングなどを、自分の生活にあわせて行うのがよいでしょう。
まずは1日3000歩増やそう
厚生労働省から出ている指針では、1日1万歩歩こうといわれています。しかし、それまで4000歩くらいしか歩いていなかった人に、いきなり1万歩歩けといっても無理があります。私が調査したところ、1日3000歩増やすと、生活習慣病マーカーとしての血液データがよくなり、体力も上がってくることがわかりました。
ですから、みなさんが先週1週間で歩いた平均歩数プラス3000歩を、1日に歩く歩数に設定するとよいでしょう。
「1日1回20分以上続けて歩く」は幻想だった
ウォーキングなどの有酸素運動は、20分以上続けることで脂肪を燃焼させると思っていませんか。でも、毎日を忙しくしている私たちにとって、それは簡単なことではありません。それが理由で、続けられなかった人も多いのではないでしょうか。
しかし、有酸素運動を20分以上続けなくても、脂肪は燃焼することが研究結果から明らかになりました。つまり、10分程度の有酸素運動を2回したのと、20分以上連続して有酸素運動をしたのとでは、同じ脂肪燃焼効果があることがわかったのです。
ですから、20分以上連続で歩かなくてもいいということになります。これなら忙しくても、続けられますね。
「筋トレ」「有酸素連動」「食事の改善」を行い、続ければ、サルコペニアやサルコペニア肥満を解消することも、そして防ぐことも可能になります。
<書籍紹介>
健康で老けない体をつくるらくらくトレーニング
若さの秘訣は背筋と腹筋にある! 姿勢がよくなり、代謝アップでいいことばかり。すぐに始められる「ストレッチ&筋トレ」を紹介。
<著者紹介>
久野譜也
(くの・しんや)
筑波大学体育系教授、医学博士
1962年生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。同大学大学院修士課程体育研究科修了、同博士課程医学研究科修了。博士(医学)。東京大学教養学部保健体育科助手、ペンシルヴァ二ア大学医学部客員研究員、東京大学大学院助手、筑波大学先端学際領域研究センターおよび同体育科学系・講師、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授を経て、2011年より同大学体育系教授。高齢化社会を見据え、2002年、健康増進分野では日本初の大学発ベンチャー「㈱つくばウエルネスリサーチ」を起業。“科学的根拠に基づいた日本の健康政策の構築”を目指し、体力年齢の若返りと医療費の抑制を実証。また、個別運動栄養プログラムを提供するITを活用したe-Wellnessシステムを開発、全国40以上の自治体および健康保険組合に対して健康増進事業のコンサルティングと健康増進プログラムを提供している。また、全国の自治体と連携しながら「健幸」をまちづくりの基本に据え、総合的な健康政策を推進・実行する「Smart Wellness City首長研究会」を設立。これからの地域における持続可能な新しい都市モデルの構築を目指す。
著書に『股関節の痛みをとると健康になるj(PHP研究所)など、監修・指導書多数。