相続税、億単位で払いすぎているケースも! 8割の人が過払いしている理由とは?
2018年07月31日 公開 2018年08月03日 更新
現場を知らない税理士、税金を知らない不動産鑑定士
土地や家屋の評価は国税庁により“市街地の場合は、「路線価×面積」で計算する“、”市街地以外(田畑・山林・原野など)の場合「固定資産税評価額×所定の倍率」“など、算定方法が定められています。
しかし、とくに土地の評価は例外だらけで、「路線価×面積」で計算した評価がその土地の適切な評価になるケースはほとんどないのです。
なぜなら、土地は一つとして同じものはなく、個別性がかなり高いものだからです。そこで、相続税法上ではそういったクセを一定の範囲内で、その土地の評価に反映させることが認められています。
いびつな形の土地や、周辺の利用状況に照らして広すぎる土地、高低差があるなど使い勝手の悪い土地や周辺にお墓などがあったり、騒音や異臭がしたりする土地は、評価を下げられることが多いのです。
こうして土地の評価を下げることが認められる可能性がある要因のことを、私たちは「減価要因」と呼んでいます。そして、土地の評価にあたっては、「減価要因」を徹底的に探し出すことから始めます。
ですが、会計中心の業務を行っている一般的な税理士は、そういった土地の評価減の詳細な検討方法を知らないことが多いのです。
その結果、本来ならもっと安く評価できる土地であっても評価減を行えず、結果として相続税の過払いが発生してしまうのです。
世の中の多くの税理士は法人税や所得税などについてはプロフェッショナルなのですが、土地の評価についてはほとんど知らないと言ってもいいでしょう。
「それなら“不動産業界のプロフェッショナル”に頼めば、土地の評価を間違えないんじゃない?」と思われるかもしれません。
確かに土地に関しては、「不動産鑑定士」という専門職が存在しています。
不動産鑑定士は弁護士や公認会計士とともに難易度が非常に高い国家資格で、その名称通り、不動産の経済的価値を適切に評価するプロフェッショナルです。ですが、不動産鑑定士は税金のプロではありません。
不動産鑑定士が導き出す評価額はその土地の「取引で用いられる売買の価格」です。
相続税の申告では、土地の評価は先述の通り「路線価」をもとに計算することとされていますが、路線価は一般に「取引価格の8割程度」になるように設定されていますので、取引価格をベースにした不動産鑑定士が算定する評価額を用いると、結果として高い評価となってしまいます。
一般的に、路線価をもとに土地の個別性を調査し、評価減を行った結果の評価額が、相続税申告時において最も土地の評価を低く抑えることができるのです。
ですから、一般的に「相続税申告における土地の評価」を最も低く算定できるのは一般的な税理士でも不動産鑑定士でもありません。
相続した土地の評価は、税金と土地どちらにも精通している税理士に依頼するのがベストなのです。