「ITわからない。誰かに任せる」 開き直った人に居場所が無くなった理由
2018年12月13日 公開 2019年05月16日 更新
ユーザー企業の開き直りはなぜ蔓延したのか
そもそも「俺ら、ITシロウトだから!」病はどうして蔓延してしまったのか? そのメカニズムを見てみましょう。大きく3つの原因があります。
【(1)ユーザー企業の立場が強い】
いわゆるパワーバランスってヤツ。このようなケースにおいて、お客サイドで「俺ら、ITシロウトだから」病を発症しがちです。何もしなくても、ベンダーが言うことを聞いてくれる。至れり尽くせりやってくれる。ユーザー側が開き直れる環境にある。お客にとってみれば、なんともパラダイスな世界です。
「これくらい、チャチャっとできるでしょ? ITのことはよくわからないけどさ」
「ついでに、この要件も追加でお願い! できるよね?」
こうした発言の裏には、ユーザーのベンダーおよびIT技術者に対するリスペクトの欠如が垣間見えます。
また、ITの世界は知るべきことも多く、専門用語も多くて小難しい。とくに文系人間にはとっつきにくく、面倒なことこの上なし。なおのこと、ユーザーはベンダーに丸投げしたくなる。
なかには、自分たちの社内プレゼンスの低さゆえに、日ごろエンドユーザーから受けているストレスを八つ当たりのごとくベンダーにぶつけるユーザーも。困ったものです。小学生のときに、「自分が嫌なことは他人にしてはいけない」って教わりませんでしたか?
【(2)ユーザー企業におけるシステム部門のプレゼンスが低い】
情報システム部門、あるいは部門のシステム担当部署の社内での地位が低い。いい人材も、予算もつけてもらえない。勉強するモチベーションも低ければ、ITの専門家としてのプロ意識も芽生えない。
「どうせ、俺たちはシロウトだから」
その結果、ITの仕事をマネジメントできず、エンドユーザーに軽く見られ、さらに自分たちの地位を低くしてしまう。
エンドユーザーはやりたい放題。クレーム言い放題。それを受けるヘルプデスクや運用メンバーのモチベーションもだだ下がり。そして、ITの仕事などだれもやりたくなくなる。ああ、残念なスパイラル……。
【(3)ベンダーがユーザーをマネジメントできない】
ベンダーにも責任の一端はあります。いままで、「お客様は神様」の発想で、ユーザー企業の言うことをすべて鵜呑みにしてきた。ユーザーの果たすべき責任を明確にしてこなかった。毅然と接してこなかった。いわば、ユーザーを甘やかしすぎてきた。それでは、ユーザーパラダイスができあがって当然です。
「俺ら、ITシロウトだから」なんて言っていると、残念な人になりますよ……
イラスト:白井匠