社長が放った一言「もう、『部長』って古くない?」
インターネット以前と以後で、人々の価値観と働き方は変わりました。
しかし、マネジャーに求める理想像や「組織はこうあるべき」といったイメージだけが、変わらないまま。
最軽量のマネジメントを実践するために、まずはこの古びた理想を捨てることから始めましょう。
サイボウズは6つの理想を捨て、同時に、マネジャーや組織に限りなく軽やかな姿勢を求めてきました。
・マネジャーは「地位」ではなく「役割」である
・モチベートに必要なのは「スキル」ではなく情報を公開する「覚悟」
・「自分が神」になる必要なんてない「だれが何のプロか」知っておくだけでいい
・組織図は「ピラミッド型」から「キャンプファイア型」へ
・「100%の忠誠心」なんて求めない「100人100通りの距離感」を受け入れる
・目指すのは「ホワイトな企業」よりも「透明な企業」
すこし前の経営会議で、社長の青野がこんなことを言い出しました。
「もう、『部長』って古くない?」
サイボウズの新しい組織図について話していたとき、ぱっと青野の口からこぼれた言葉でした。
彼が言いたかったことが、呼び方の問題なのか本質論なのかはさておき、この感覚の変化は、きっとだれもが持ちはじめているものでしょう。
「部長」ってすごく偉そうな響きですよね。しかし、そもそもマネジャーって「偉い人」であるべきなのでしょうか?
では、「ピラミッド型の組織図」を、もう一度見てみましょう。
たしかにこのピラミッドを横から見れば、係長、課長、部長と役職が上がるにつれて地位も高くなっているように見えます。
しかし、このピラミッドをもし上から俯瞰して見ると……どうなるでしょう。
役職が何であれ、その位置に高いも低いもなくなりました。
これが、本来の組織図です。
わたしも今ではサイボウズの副社長という立場のため、どうしても社員は「地位のある人」と認識しますし、自分自身も偉いんじゃないかと思ってしまいがちです。
しかし、そもそも「マネジャーは偉い」という間違った認識があるから、「どうしておれの言うことが聞けないんだ」といういらだちが生まれるのです。
マネジャーとは本来ただの「役割」、もっというと「機能」に過ぎないはずです。
ではなぜ、「マネジャーは偉い」という空気は生まれたのでしょうか。
会社に成果をもたらすために、マネジャーが持つ最大の役割は「意思決定」。これは今も昔も変わりません。
上層部からの指示と、部下からの情報を踏まえて、何をすべきかを決定する。そして、メンバーに主体的に動いてもらう。そのためには、意思決定の背景やその決断に至った理由をわかりやすく説明して、部下を説得できる能力が必要です。