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浮気夫が突きつけた離婚…“前向きな”妻が取り違えた「現実」と「願望」

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2019年11月14日 公開 2024年12月16日 更新

<<つらく厳しい境遇でそのまま落ち込んでしまう人と乗り越えられる人。その差を分けると注目されている能力が「レジリエンス」。アメリカで論文が多数発表されるなど注目される心理学理論で、簡約すれば「人生の挫折に対処する能力」である。

早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏によれば、挫折や落ち込みから立ち直り、ポジティブに生きられる人は共通してこの力をもっているという。そしてそのレジリエンスを理解する上で「プロアクティブ」と「リアクティブ」が重要であるという。

加藤諦三氏の新著『どんなことからも立ち直れる人』では、実例を通してレジリエンスを理解することで、「自ら幸せを得る力」を取り戻すことを目指している。

本稿では同書から「プロアクティブ」と「リアクティブ」に言及した一節を紹介する。>>

※本稿は加藤諦三著『どんなことからも立ち直れる人』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

夫の浮気が発覚し「離婚」を要求される

47才の女性の話である。

5年前、夫が出張で留守中に子どもが病気になった。
出張先に連絡しても連絡がつかなかった。

帰宅後に問いただしたところ、愛人のところに泊まっていたことを告白した。相手は同じ会社の人で33才の女性。発覚後、夫は離婚を望んで、外泊ばかりするようになった。

彼女は即刻、夫が夜中でもいつでも帰ってこられるように、家の中に夫の特別な場所をつくった。

この即座の行動は、いかにも表面的には彼女は現実に対応したかに見える。つまり彼女はレジリエンスのある人に見える。

レジリエンスのある人の特徴の一つは自分から動くことである、ただ幸運を待っていない。プロアクティブな反応である。

プロアクティブは起きたことに対処することである。レジリエンスのある人は、事を成り行きに任せない。

逆にレジリエンスのない人の反応の特徴はリアクティブである。

リアクティブについての定義的な説明は私の知る限りあまりないが、私の解釈では、典型的なのが、「ただ歎いている」ことである。要するに事が起きているのに何も対処しない。

彼女は即座に起きたことに対処した。レジリエンスの定義に従えば、表面的には彼女はレジリエンスのある人に見える。

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逆境から逃げなかったのに、夫は戻ってこなかった

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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