「自虐ネタ」は感情豊かに大げさに
ここまで「〜すべき」という持論は話すべきでないと説明してきましたが、雑談においては、その持論を用いて場を盛り上げる方法も存在します。それは「自虐ネタ」です。
実は、同じ持論を語るにしても、「〜すべきだ!」とただ主張するのではなく、こんな不幸なことがあって腹が立ったといったような、自分の感情をメインに語る「自虐ネタ」として語れば、「持論語り」から「自分のキャラクターを伝える話」に変わり、雑談は盛り上がります。
先ほどの会話例が、次のような展開だとしたらどうでしょう?
A 「この前、オーストラリアに行ったときに飛行機に乗ったら、国際線なのにアルコールは有料ですって言われて。時代は変わったなって驚いちゃって」
B 「へー、昔はそんな会社なかったよね。LCCだったんじゃない?」
A 「そう。LCC。しかもさ、チケットの値段も普通の航空会社と、言うほど変わらないんだよ! だから、LCCって気づかなくて」
B 「それ嫌だね。でも、機内で買っても、そんなに高くないでしょ?」
A 「いやいや。それが、ビール1缶で900円もするの! しかも、空港で買った酒を機内で飲むのは禁止! だから、ちょっとムカっとして、今回は、お酒やめといた」
B 「いいじゃん。逆に健康的!」
A 「そうそう! しかも飛行機の中って、酔いやすいじゃん? だから、逆に飲まなくて得したんだって、自分に言い聞かせてたんだけど、かえってそのせいでめちゃくちゃイライラして(笑)。900円のビール飲んで酔っ払ってた方がマシだったかも(笑)」
Aさんは、先ほどと同様に持論を語っていますが、半分冗談のように話しているので、それをBさんに強要しているニュアンスはありません。
したがって、Bさんも自分の持論をAさんと戦わせることなく、むしろ雑談は盛り上がっています。だから、同じ内容でも、和やかな雑談になるのです。