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「自分語り」ばかりする人がウザがられるワケ

渡辺龍太(放送作家、即興力養成講師)

2020年02月07日 公開 2023年08月17日 更新

 

「自虐ネタ」は感情豊かに大げさに

ここまで「〜すべき」という持論は話すべきでないと説明してきましたが、雑談においては、その持論を用いて場を盛り上げる方法も存在します。それは「自虐ネタ」です。

実は、同じ持論を語るにしても、「〜すべきだ!」とただ主張するのではなく、こんな不幸なことがあって腹が立ったといったような、自分の感情をメインに語る「自虐ネタ」として語れば、「持論語り」から「自分のキャラクターを伝える話」に変わり、雑談は盛り上がります。

先ほどの会話例が、次のような展開だとしたらどうでしょう?

A 「この前、オーストラリアに行ったときに飛行機に乗ったら、国際線なのにアルコールは有料ですって言われて。時代は変わったなって驚いちゃって」
B 「へー、昔はそんな会社なかったよね。LCCだったんじゃない?」
A 「そう。LCC。しかもさ、チケットの値段も普通の航空会社と、言うほど変わらないんだよ! だから、LCCって気づかなくて」
B 「それ嫌だね。でも、機内で買っても、そんなに高くないでしょ?」
A 「いやいや。それが、ビール1缶で900円もするの! しかも、空港で買った酒を機内で飲むのは禁止! だから、ちょっとムカっとして、今回は、お酒やめといた」
B 「いいじゃん。逆に健康的!」
A 「そうそう! しかも飛行機の中って、酔いやすいじゃん? だから、逆に飲まなくて得したんだって、自分に言い聞かせてたんだけど、かえってそのせいでめちゃくちゃイライラして(笑)。900円のビール飲んで酔っ払ってた方がマシだったかも(笑)」

Aさんは、先ほどと同様に持論を語っていますが、半分冗談のように話しているので、それをBさんに強要しているニュアンスはありません。

したがって、Bさんも自分の持論をAさんと戦わせることなく、むしろ雑談は盛り上がっています。だから、同じ内容でも、和やかな雑談になるのです。

著者紹介

渡辺龍太(わたなべ・りょうた)

放送作家、即興力養成講師(ハリウッド流インプロ協会会長)

高校生の頃にお笑い芸人を志すも、日本ではスベり続けた末に、一念発起してアメリカへ留学。その際、現地で「インプロ(即興力)」と呼ばれる科学的に研究されたアドリブトーク術と出会い、コミュニケーション能力が劇的に改善。以降、本格的にインプロや心理学を学び、体系的にまとめられた「人間が笑う話のロジックのパターン」の研究に没頭する。帰国後は、インプロで身につけたコミュケーション能力を活かして、実績ゼロからNHKの番組ディレクターに就任し、放送作家となる。現在は、放送作家として活躍するかたわら、浅井企画メディアスクールでインプロワークショップなどの講師を経験したことをきっかけに、ビジネスマンや学生を対象に、様々な自治体や企業で精力的に講演やワークショップなどを行っている。2018年には、さらにインプロを広めるために、ハリウッド流インプロ協会を設立し、インプロ講師の養成にも注力している。
著書に、『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術』(ダイヤモンド社)、『自分の居場所はどこにある? SNSでもリアルでも「最高のつながり」の作り方』(CCCメディアハウス)、『ウケる人、スベる人の話し方』(PHP研究所)がある。

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