時間がかかるExcel作業…その原因は
時間がかかるExcel作業というのはたくさんあります。では、なぜ時間がかかるのでしょうか? その原因を明らかにしない限り、対策を立てて時間短縮を実現することはできません。
ワインやウィスキーの熟成など、どうしても数年単位で時間がかかる作業はあります。そうした工程を短縮することはできません。してはいけません。時間をかけることそのものが「よりおいしいお酒を作る」という価値につながるからですね。一方、時間をかけても価値が増えない作業があります。そうした作業については、極限まで時間短縮を図るべきです。でないと、こういうことが起こります。
「あれだけ時間をかけて、この程度の仕事しかできなかったの?」
「あなたが3時間かけてやった仕事、彼は1分で終わらせたよ」
このようなケースでは、時間をかけることはむしろ「時間のムダ」にしかならないのです。そうしたムダを極力排除するため、時間がかかる作業はなぜ時間がかかるのか、原因を明らかにする必要があります。そしてその原因は、とてもシンプルな2つに分類できます。
・反復性 〜何度も同じことを繰り返す
「あと請求書20通……」
そんな何度も何度も同じ作業を繰り返す、反復作業の発生によるムダが1つ目として挙げられます。
請求書は、1通作るだけならそんなに大変ではありません。しかし、それを手作業でやっているとすると、100通や1000通作る必要が出てきた時に追いつかなくなります。同じ手順の作業を何度も繰り返す ── そうした作業は、その回数に比例して、所要時間が長くなっていきます。
ところが、その作業を自動的に繰り返してくれる仕組みを作れたらどうでしょうか? 自分が何度も手を動かすことなく、しかも100回だろうが1000回だろうが数秒でそれを済ませることができるとしたら。そのような仕組みを作ってみたいと思わないでしょうか?
・複雑性 〜手順が多く複雑
特に反復作業がなくても、手順が多くややこしくて煩雑な作業は時間がかかりますね。その作業がさらに繰り返しを要するものだったら、もっと時間がかかることになります。
何より、人間はミスをする生き物です。手順が多くて面倒であるうえに、処理の仕方に難しいルールがあるとややこしくてミスの発生も多くなってしまいます。このような作業に時間がかかることが多くなります。
しかし、これも自動化すれば、そうした人為的なミスの発生がなくなります。何度も繰り返すような作業であれば、その差は極めて大きな影響をもたらすものになります。
手作業でできることはほぼ「瞬殺」 「Excelマクロ」のインパクト
では、大量の反復作業、複雑な作業……つまり「時間のかかる面倒なExcel作業」を自動化するとは、具体的にはどういうことでしょうか?
先ほども書きましたが、
「作業を自動的に全部やってくれる独自のExcelファイルを自分で作る」
ということです。そのファイルを開いて、シート上に用意したボタンをクリックすれば、いつもの作業が一瞬で終わる ── そんなことができるようになります。
Excel作業を自動化するには、Excelの「マクロ」という機能を使います。このマクロという機能は、さまざまな「処理」を、「手順」どおりに、あらかじめプログラミングしておくことで、Excelがそのとおりに動くようになる……つまり、「一連の処理」である「手順」を自動化するものです。それこそ、数時間から1週間かかっていた作業も1秒で終わるようにすることも可能な、Excel作業地獄に苦しんでいる方にとっては夢のような機能だといえます。
「マクロではどんなことができるのか?」
「マクロでこんなことはできるか?」
とはよく聞かれる質問ですが、手作業でできることはほぼすべてマクロ機能で自動化することができます。
このような1つ1つの「処理」は、たいして手間や時間がかかるものではありません。しかし、処理が複数組み合わさった一連の作業に時間がかかって面倒だという際は、1つ1つの処理を正しい順番で行われるように手順書=プロシージャにまとめてしまえば、以降はExcelのマクロ機能が自動でやってくれるので、それまで長時間かかっていた作業も一瞬で終えてしまうことができてラクです。
このような「自動化ツールの作成」は、決してプログラミングの専門家にしかできないことではありません。初心者からわずか半年で一般向けに発売できるほどの会計作業自動化Excelを作り上げ(その後実際に商品化)、中小企業の会計作業の効率化に貢献されている方もいます。
もし「すべてのExcel作業を行うデスクワーカーが当たり前にマクロを使いこなしている状態」が実現できたとしたら、日本のGDPに影響を与えるレベルで国益に資することができる――Excelマクロによる効率化のインパクトは、それほど巨大なものだと確信しています。