インテルが開発、Googleやfacebookが導入…先進企業が続々と採用する「OKR」とは何か
2020年12月23日 公開 2023年01月05日 更新
組織におけるOKRの全体像
次にOKRの全体像を見てみましょう。前述の通りOKRは通常、組織の階層ごとに設定されます。ここでは組織全体・チーム・個人の3階層です。
基本的には、上位層のものから設定していきますが、目標を設定するのはあくまで自分自身です。上位層のものは、自身が目標設定する際に、方向性がずれないようにするための「前提の共有」の位置づけになります。
また、一度設定されたものでも、上位・下位層・同じ階層からのフィードバックに応じて、適宜見直しを行うことも重要です。
〈OKR導入1〉導入に向けた環境づくり
それでは、具体的にどのようにOKRを導入するか見ていきましょう。導入においては大きく分けて3つのステップがあります。
まず、はじめにすべきことは、OKRとは何か、何のために導入するのか、ということを全社員にしっかりと理解させることです。特に、経営トップからの協力を得ることは必要不可欠です。会議や合宿、研修などを通じ、本項で説明する内容に加えて、導入することによる社内への影響や、導入のネック、実施後の組織ビジョンなどを含めて話し合い、導入に向けた環境を整えます。
〈OKR導入2〉階層ごとのOKRの設定・確認
導入に向けて組織全体で前向きな空気をつくることができたら、いよいよOKRの設定を行います。OKRの全体像で説明した通り、基本的には上位の階層である組織全体のものから順に設定していきます。
目標=「O」はムーンショットを意識して、「難しいが、創意工夫を凝らせば達成できるかもしれない」という水準を設定します。この目標はあくまで「目指すべき方向性」ですので、必ずしも定量的な設定が求められるわけではありません。
ただし、あまりに抽象的であると続く具体的な成果=KRが設定しにくい、メンバー間で目標の認識に齟齬が出るなどの問題が生じてしまうので、誰が見ても分かる客観性や期限の明示が必要です。
一方、具体的な成果=「KR」は、目標がどれだけ実現されたかを示すもので、期中に振り返りを行う必要があるため、定量的に設定することが重要です。ただし、これもムーンショットである目標にもとづくものであるため、必ず達成すべき水準とは異なることに注意してください。また、1つの目標に対して2、3程度のKRとするのが一般的です。
OとKRの設定が終わったら、内容を下の階層に共有し、下の階層ではそれにもとづいて自分たちはその目標にどのように貢献できるかを考え、自身の階層のOKRを設定します。
こうしてすべての階層でOKRの設定が終わったら、内容について最終確認を行います。確認のポイントは2つです。
一つは、設定されたOとKRの関係性に納得感があるかです。「KRの状況が実現されたとき、Oの状態になっている」のであれば納得感がある状態といえます。
もう一つは、KRの設定方法です。先ほどもお伝えした通り、KRは誰が見ても分かる具体的な表現と定量的な数値を含んだ客観性があり、期限が設定されていることが必要です。また水準としては、懸命に努力すれば達成率が70%程度になるようなムーンショットの考え方に基づいているべきです。
これらのポイントをチームメンバー同士で確認し、お互いにフィードバックします。
〈OKR導入3〉OKR運用のための仕組みづくり
それぞれのOKRの設定・確認が終わったら、運用のためのスケジュール設定と、OKRの見える化および共有のための仕組みづくりを行います。
まず、スケジュールについてですが、四半期サイクルをベースに検討することが一般的です。
OKRは近年の不透明かつ変化の速い環境下における革新的な考え方や行動変化を促すことに効果的なツールですので、目標が陳腐化する前にきめ細かく見直しをしていくことが欠かせません。
このような短いサイクルで見直しを行うことを考えると、設定プロセス自体もスピーディーに行う必要があるため、あらかじめスケジュールを組みつつ、なるべく手順をシンプルにすることも重要です。
後者のOKRの見える化と共有の仕組みも、形骸化を防ぎ、社内コミュニケーションを活性化するためにも意識すべき要素です。OKRの見える化・共有は、目標未達を明らかにする、という目的ではありません。
各個人やチームが「どのような目標に向かって何に取り組んでいるのか」を共有することで一体感を醸成していくこと、目標達成に向けたフォローアップやアイデア出しをチーム全体で行っていくことにあります。
ツールは自社で用意されても構いませんが、外部にも様々なソリューションがあるので、状況に応じて適切なものを選択してください。